「・・・急にどうしたんだよ、」


みんながまた授業に集中し始めると、充はそう聞いてきた。


「急にじゃないんだけどさ。俺のこれってみーくんに見つけてほしくてしてたわけじゃん?もう、そろそろ潮時かなって思ってさ」

「・・・まあ、お前がそれでいいんならいいけどさ」


充は困ったように微笑むと、俺の頭をがしがしと撫でた。


充には言ってないのだが、女装をやめようと思ったもうひとつの理由があのパーティーの日の会長だ。

あのとき、会長は確かに俺のことを見て「めぇ」と言った。しかも、俺のすっぴんを見てだ。


あの日から俺の頭の中には、会長がみーくんなのではないかという疑問があった。
だから、文化祭の日に勝負をかけてあのコサージュを着けようと思っている。


「・・・うまくいけばいいけど、」

「なんか言ったか?」

「仕事頑張らなきゃなー、ってね」



 


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