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「さて、そろそろ俺っちは帰るっちー。律っち、またなんかあったら来るっちよ?」
「うん。ありがとお」
「ん、顔色も戻ったみたいでよかったっちー」
あれから、和葉ちゃんたちが仕事を始めて、西山くんたちも生徒会室に戻っていったので、ゴロゴロしているとおもむろに天くんがそう言って立ち上がった。
「水野、助かった」
「俺っちは律っちの味方だっちよー」
お礼をいった和葉ちゃんに、天くんはにっこりと微笑むと、そう言って風紀室から出ていった。
「そういえば、りっちゃん先輩、部屋どないするんすか?」
静かになった風紀室で、いきなり瑞希ちゃんが誰に言うでもなくそう呟いた。
「あ、そっかあ、・・・鍵かけてれば大丈夫だと思うんだけどね」
「馬鹿か。しばらく俺の部屋にいろ。おまえをあんなとこに戻すわけねぇだろ」
「・・・ふふ、うん」
どうやら和葉ちゃんは最初からそのつもりだったらしく、ベシッと叩いて言った。
「鈴木。律の荷物、あいつが授業でいない内に取りに行け」
「あ、そうっすね。律、行くぞ」
「あーい、」
神楽先輩の提案でおれたちは今のうちに、俺の部屋に必要最低限の荷物を取りに行った。
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