30
***
「ん、・・・」
「起きたか?律」
「っ・・・!?や、めっ・・・」
翌日、誰かが肩を揺すって起こしてきたが、俺は昨日のことを思い出してしまいその手を払ってしまった。
「や、っ・・・!」
「・・・律?」
その人を見ると、とても不安そうに俺を見ている和葉ちゃんがいた。
「っ・・・ぁ、和葉ちゃん、」
「どうした?何かあったのか?」
「え、な、んにもないよお。怖い夢見ちゃってさあ」
ヘラッと笑ってそう言うと、和葉ちゃんはまだ納得していないようでジーッと俺を見ていた。
「あ、俺・・・着替えるから」
「・・・外で待ってるから早く来いよ」
和葉ちゃんは俺が何も言わないとわかったのか、そう言って部屋から出ていった。
「・・・っ、」
Tシャツを脱ぐと、マリモくんがつけたであろう痕がいっぱいついていた。
ボタン締めたら気づかれないよね・・・、
俺は泣きそうになるのを堪え、いつもは閉じないボタンを一番上まで締めた。
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