1
「もーやだぁ!!」
そう言って授業中に慌ただしく教室に入ってきて俺に抱きついてきたのは、生徒会会計の蓮見くん。
しかし、授業中だったため先生に怒られ、蓮見くんと俺は教室から追い出された。
う・・・なんで俺まで・・・。
「もーやだよ〜・・・やってらんないぃ、」
教室から追い出されてもお構いなしにそう喚いている蓮見くんに俺は理由を聞いてみた。
「・・・ちょっとここじゃ話せないし〜、生徒会室来て〜?いちご牛乳あげるからねぇ?」
最近、みんなは俺のことをいちご牛乳で簡単に釣れると学んだらしく、みんないちご牛乳をくれる。
まあ、いちご牛乳に罪はないわけで、俺は蓮見くんと生徒会室に向かった。
「いっくーん、連れてきたよーん。」
蓮見くんに促されて生徒会室に入ると、書類に囲まれて今にも倒れてしまいそうな西山くんがいた。
「な、西山くん、どおしたの?」
「ここ二、三日ずっと寝やんと働いてるからもう限界やわ・・・」
「え、どうして、」
西山くんは俺の方を見ると椅子から立ち上がり、フラフラしながらも俺のいるソファーに座った。ちなみに反対側には蓮見くん。
「瀧谷もー、鳳もー、あの転入生に夢中でさ〜。仕事ほったらかしていちゃこらしちゃってるみたいなんだよね〜」
「せやから普段でも多い仕事を二人でやらんとあかんから大変やねん、」
良く見れば、二人の綺麗な顔には似合わないくらいのくまができている。
「さすがにもう寝不足で限界や・・・」
「オレも〜・・・だから、南川くん。一時間くらいしたらオレたちのこと起こしてくれない〜?」
「そ、そんなことでいいの?」
「うん、それで結構助かるんだ〜。じゃあよろしくね〜?」
二人はそう言うと、どこかに続いている扉を開けて中に入っていった。
・・・なにかおれにできることないかなあ、
俺は書類の山をジーと見ながら考えていた。
[ 30/77 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]