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急に帝の前に連れてこられた俺は思わず俯いてしまった。
帝も俺と同じく何を言われるか柄にもなく緊張しているらしく俺たちの間には変な空気が流れている。
「あー...別に帝と二人っきりが嫌だったんじゃないからね?」
「......それは本当なんだな」
「うん。帝と二人っきりが嫌なわけないじゃん。でもね、帝とはこれから先もずっと一緒にいられるけど棗先輩と瑞希ちゃんは卒業したらそう簡単に会えなくなるでしょ?だからせめて思い出にでもってみんなでパーティーしたかったんだ」
俺が眉を下げてへらりと笑みを浮かべてそう言うと、帝は一瞬驚いたような顔をしてからすぐに俺に一言「すまなかった」と謝罪の言葉をのべた。
「めぐみがそんなこと考えてると思ってなかったんだ。...でも、ちゃんと話してくれたら俺も拒否なんてしなかった」
「...どうせやるなら楽しい方がいいでしょ?」
「どういうことだ?」
「つまり、......ドッキリだいせいこーう!」
真剣な表情を浮かべていた帝は、俺の場の雰囲気を見事にぶち壊すその一言で唖然とした表情を一瞬してからあきれたような顔をしていた。
「...そういうことか、」
「すみません、東宮先輩」
「ああ、いい。めぐみのあれには慣れないとな」
帝を見事ドッキリに引っかけられて喜んでいた俺は、充が帝に謝っていたことも、帝がはしゃいでいる俺を愛しそうな視線で見ていたことも知らない。
「帝も充もケーキ食べるよー?早く来ないと顔面ケーキだからねー」
なにやらこそこそと話している二人に向かってそう呼び掛けると二人は血相を変えて此方に近寄ってきた。
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