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「...長谷川くん」
すると、転入生くんに痺れを切らしたのか桜治さんが転入生くんに声をかけた。
「なんだ!?てか、空也でいいぞ!お前は名前何て言うんだ!?」
転入生くんは桜治さんの声を聞くと嬉しそうに振り向いて桜治さんに近づいてきてそう言った。
「俺はこの学校の生徒会長の時任 桜治だよ」
「桜治だな!」
「...長谷川くん、俺は先輩だし生徒会だからあまり俺の名前は呼ばないほうがいいんだよね」
「大丈夫だぞ!!俺、そういうの気にしねぇから!!友達だろ、桜治!!」
桜治さんが遠回しに生徒会で先輩だから名前で呼び捨てするなと言ったのに、転入生くんにはそれが聞かないらしくそう言うと標的を俺に変えた。
「っ...なあ!名前教えろ!」
「...い、一ノ瀬、藤...」
「藤だな!お前気に入ったから親友にしてやるよ!」
「へ、?」
転入生くんは俺のところにやって来ると何故か嬉しそうにそう言って、自分の名前を俺に伝えた。
「ちょっとぉ、藤の親友はみいなんだけどぉ」
「あ!お前、何て名前だ!?」
「あんたに名乗る必要ないしぃ...藤、帰ろぉ」
「あ、うん」
御井は鬱陶しそうに転入生くんを見ると、握っていたままだった俺の手を引いて歩き出した。
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