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「誰だったのぉ?」
携帯をポケットに直すと、ずっと俺を見ていたのか御井が楽しそうに頬を緩めてそう聞いてきた。
「...知り合いのお兄さんだよ」
「でもぉ、桜治ってぇ、生徒会長の名前だよねぇ?」
「...え?」
どうやら御井は俺の話を聞いていたらしく、首を傾げてそう尋ねてきた。
が、俺がそんな御井の言葉に驚いたのを見て御井も予想外といったような顔をしていた。
「あっれぇ、藤知らないのぉ?」
「当たり前でしょ。俺今日ここに来たんだから」
「そっかぁ。あのねぇ、この学校の生徒会はFってチームの幹部なんだよぉ」
「...は?」
そんな御井の言葉に俺がさらに驚いたのは仕方のないことだろう。
御井は本当に知らなかったのかというようにつまらなさそうな顔をしていた。
『きゃぁあああああああああ!!!』
すると、食堂内に男子校だというのにも関わらず女のような甲高い声が響いた。
「生徒会の皆様だよっ!」
「勢揃いなんて珍しい!」
「僕、今日来てラッキーかもぉ!」
その甲高い声に驚いていると、周りの男の子たちは何やら浮き足だったように口々にそんなことを言っていた。
「...御井、なにこれ」
「生徒会のぉ、皆様だよぉ」
「生徒会って...」
さっき御井が言ってたことが本当なら桜治さんたちが来たってこと?
でもまさか俺を探しに来た訳じゃないよね。ただ食事しに来ただけでしょ。
「あ、こっちに来てるっぽぉい」
そんな俺の考えは御井の言葉で全て消えた。
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