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「桜治?どうしたんだい?」
焦っている俺の様子をきょとんとした様子で三人は俺を見ていて、副会長の椿がそう尋ねてきた。
「...藤が知らない野郎と一緒にいた」
「そんなわけないだろう。藤くんはめぐみさんのところにいるんだから」
「俺もそう思ってたんだが...」
さっきのは明らかにめぐみさんのところじゃないだろう。
じゃあ、藤はどこにいる?俺たちに内緒でどこかに行ってるのか?
「...僕がもう一回藤くんに掛けてみるよ」
俺の様子に呆れたように椿はそう言うと、自分の電話で藤に電話をかけた。
「あ、もしもし藤くん?...そうなんだ、わかったよ」
椿は数回藤と会話のやり取りをすると、あっさり電話を切った。
「...椿?」
「とりあえず、荷物片付けて食堂行くよ」
「は?」
「なんでにゃー?」
「いいから早くして。桜治も藤くんのこと知りたいんでしょ」
椿にそう言われ俺たちは納得がいかないまま書類やら荷物を片付けて生徒会室を出て、寮の食堂に向かった。
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