「っ...、どうしよう」


今日、俺はもう何度目かわからない逃亡をしていた。
どうやら全員が家にいるらしく、今はまだ誰にも見つかっていない。が、もうすぐ18時になるから海斗や祐介辺りが動き出すだろう。


「あ、藤!」

「っ...、」


そんなことを思っていると、案の定俺を探していたらしい海斗に見つかった。
俺は海斗を見た瞬間ダッシュでその場から走り出した。

裏路地に入りいくつも曲がり角を曲がったりしていると、前から来ていた人にぶつかった。


「わっ...、ご、ごめんなさいっ...」

「いや、君こそ大丈夫?」

「へ、へーきですっ...」


俺がその人に謝ると、その人は逆に俺の心配をしてくれた。


「ふーじー!」

「ひっ...やばっ...!ほんと、すみませんでしたっ...」


すると、後ろから海斗の声が聞こえて俺はもう一度その人に頭を下げてその場から走り去ろうとした。


「こっち」

「へっ...!?」


だが、ぶつかった人に腕を引かれてそれは叶わず、俺はその人に腕を引かれるがまま近くの廃ビルに入った。



 


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