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『俺と山崎さん』
「いらっしゃいませ〜」
初めまして。俺は松前 律(まつざきりつ)といいます。18歳のフリーターで、2ヶ月ほど前からコンビニ店員をしています。
「松前くん、正月はどっか行くんか?」
「あー...行かないっすよ〜。つか、ずっと入ってますし」
今日は大晦日。後、数時間で1年が終わってしまうというのに俺はオーナーとともに仕事をしている。
「おはようさん」
そろそろ上がる時間になりぼんやりしていると次のシフトの人たちがやって来た。
俺はその声を聞いた瞬間に半分閉じかかっていた目を開けた。
「おう、律」
「山崎さん、はよーざいます」
「ん、はよーさん」
この人は先輩の山崎 侑紀(やまざきゆうき)さん。
天然パーマの髪を汚くない感じに肩近くまで伸ばしているイケメンなお兄さんだ。
「オマエ、明日何時からなん?」
「えーと...17時からっすよ」
「んな、俺んとこで待っとけよ。終わったら即行帰るし」
「...わかりました」
山崎さんはコソッと俺にそう言うと、いつものトーンで「お疲れさん」と俺の頭をポンポンと軽く叩いて行ってしまった。
何となく想像のついた人もいると思うが山崎さんと俺は付き合っている。
バイトを始めて1ヶ月がたった頃に山崎さんにコクられたのだ。
「お疲れさまっす」
「おう、また明日な」
俺はオーナーに挨拶を済ませて、店から徒歩10分ほどのところにある山崎さんの住んでいるマンションに向かった。
渡されてある合鍵で中に入ると山崎さんの匂いが充満していて、俺は入ってすぐにあるリビングのソファーに倒れこんでそのまま眠りについた。
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「...ん、」
何か、重い......つか、これ上に何か乗ってるんやけど、
体にのし掛かってくる何かの重さで目を覚まし、体を起こそうとしたがそれはできなかった。
「わっ、...や、まざきさん...」
「...もうちょい寝とけ。俺さっき帰ってきたんやし」
「ん、わかりました」
山崎さんはうっすらと目を開けると掠れた色気のある声でそう言って俺を抱き寄せ、俺が頷くと軽く俺の頭を撫でた。
「...あ、山崎さん」
「......んや、」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「...おう」
自然と互いに唇を寄せあって軽くキスをして、俺たちはもう一度夢の中へと入っていった。