静電気なあの子
 日曜日、ショッピング日和だと出かけていった幼馴染を追って、俺はショッピングモールまで来ていた。いつも俺は純のことをストーキングしているわけではない。せっかくの日曜日なのに俺と遊ばないでどっか出かけちまうなんておかしいと思わねーか?俺はすげームカつく!だから何をしてるのかチェックということで尾行していたのだ。まさか俺以外の人とこれから会うのか?だとしたらなんだか居た堪れない。でもここまで来たら引き返せない!
 ショッピングモール内の服屋に入っていった純はゆっくりゆっくり店内を回っていく。そこで話しかけた背の大きい男、誰だアイツ?男の前でお上品に口に手をあてて微笑む純はなんだか大人ぶってるみたいで、ちょっとムッとした。次は小物が売ってる所らしい。鏡にあててニヤけたりしている。気持ちわりーの。それよりも隣のリボンのほうが似合ってるっつーの!バカだな、今度買ってやるか・・・。
 こんなふうにありとあらゆる店を渡り歩いて行った純が最後に向かった先、そこは──下着売り場だった。キラキラと光っているものがついていたり、フリフリがバーッてついてたり、こんなのを純がつけてんのか?!そういえば随分前から一緒に風呂入らせてくれねーし、なんだかと思ってたけど、そういうことなのか?だとしたらどんだけ恥ずかしいこと聞いてたんだよ俺・・・たとえ純だとしても女の子のその、そういう、格好とか、見れるわけねーじゃねーか!俺はそこに目も当てられなくてサッと視線をそらして、暑い顔を冷ますように手で扇いだり、他のことを考えようと必至に頭を張り巡らせる。しかし思い浮かぶのはなぜか純の下着姿で・・・ああもう!なんなんだよ!なんで俺が純のそういう・・・エッチな格好想像してドキドキしてんだよ!

「あれ、将?」
「うっ、うわあああ?!」

 真横から聞こえた本人の声に心臓が飛び上がってそのまま止まってしまうかと思った。「そんな驚かなくても・・・」と呆れた顔をした純を見て、さっきの想像が脳裏に浮かぶ。な、何考えてんだ俺!最低だ!変態だ!何度振り払おうとしても純の顔を見る度に思い出してしまって、もう顔が見れねえ・・・。しかしそれに対して純は「どうしたの?」だなんて言いながら距離を縮めてくる。だーっ!こ、これ以上近くに来られたら・・・!

ぴと

 「ねえ、将?」俺の腕にぴったり胸をくっつけて俺の方を見上げる純。ぷるぷるした唇で俺の名前を呼んでいる。俺は行き場を無くした手を純の腰に当てた。

「え、何?」
「純・・・」

 ・・・あれ、こいつこんなに細かったっけ。こんなに小さかったっけ。長い睫毛が震えている。まるで脅えたハムスターみたいだ。ゆっくり長い髪を梳かし撫でる。

「・・・将?」

 純がもう一度名前を呼んだ。俺は唾を飲み込んで純を離した。

「・・・髪になんかついてたんだよ。おっちょこちょいだな全く」
「え、本当?ごめん・・・」
「ほら、お前どうせ買い物終わっただろ。行くぞ」
「そうだけど・・・ちょ、ちょっと!力強いから!」

 俺は一体何をしようとしていたんだろう。でも、今コイツの手を掴んで高なっている心臓も、苦しいくらいに守りたいと思う気持ちも、全部心地よくて、ついでに純も笑ってるしまあいっか、と思いました。俺の奇妙な尾行の話、オシマイ。



リプきたキャラとシチュエーションを別々のあみだくじにぶっ込んで引いたやつで夢小説書く、というタグにて決まったものです。
沢山のリプライの中から将くんと「下着売り場」が選出されました。難しかったけど可愛い話になってたらいいなと思います。ありがとうございました。
タイトルは草臥れた愛で良ければ様から



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -