白い誘惑
 今日は影山くんのシフトが入っていない日だ。俺と霊幻さん、そしてお手伝いに来ている佐々木さんの三人で依頼主の案内する心霊スポットへ向かっていた。今日の依頼主は男の人で、心霊スポットに行ってからというものの何かを訴える様子の男が出てくる夢を何度も見るらしい。最初から心霊スポットなんて行かなきゃよかったのにと思いつつも「それ霊の仕業ですね。」「辛かったでしょう。」「早速案内してください。いくぞ、芹沢。」と俺を呼び、立ち上がった霊幻さんに関心していた。すぐに行動に移せるなんてすごいなあ。俺は好きな人がいて、隣で歩いたり手を繋いだりしたくても隣りに歩く事は出来ないし手を繋ぐことだって、むしろ話しかけるのですら出来ることができないというのに。
 風が静かに吹くようになってから、秋ももうすぐなのだろうかと感じる。霊幻さんは背筋を伸ばしてピシッと歩いていた。しかし、その後ろにいた佐々木さん。霊幻さんとは仲が良いらしい純さんがそんな霊幻さんの鳩尾に肘を入れた。痛そう・・・。

「ちょっと霊幻!どこ見てたの?!」

 俺はどこだろう、と思いながら聞こえてくる小声の会話に耳をすませた。

「ただ最近の女子高校生はスカートがみじけえなあって思ってただけだよ!」
「じゃあそんなにいやらしい顔して歩かないで頂戴。悪霊より怖い。」
「なんてこと言うんだ!この霊幻新隆の顔は何をやってもハンサムだぞ?」
「その幸せな脳みそ、私にも分けて欲しいくらいだわ。」

 ふんっと二人して鼻を鳴らしてお互い顔を背けた。仲がいいんだなあ。俺もそんなふうに仲良くなりたいな、長い間友達とか出来てなかったし、俺もここで働き始めて何か変わるのかなとも思った。しかし、スカートが短いのは佐々木さんもではないのだろうか。俺にはよくわからないけどスーツのスカートの短さってこれでいいのかな?彼女の綺麗なあるき方だといろんな所が主張されててどうなのかなって思うけど・・・。

「芹沢さん、つきましたよ。」
「なにボーッとしてんだ?」
「あっ・・・す、すいません。」

 確かに霊の気配がある錆びれた空き地についた。心霊スポットと言われるだけあって、少しだけ肌寒く感じるのだろうか。よくわからないけど、これも何度目かの除霊だ。俺はささっと除霊をして霊幻さんに声をかけた。

「終わりました。」
「お疲れ、芹沢。さて、今回の報酬の件なのですが・・・」

 佐々木さんは何のためにわざわざ付いてきて貰ったのだろうか。きっと霊幻さんが俺だけじゃ頼りないとかんじたのだろう。結局家俺は除霊する以外に彼女の脚しか見ていないわけだし・・・ん?なんで俺は佐々木さんの脚を見ていたんだ。別に誰だっていいし、佐々木さんを見るなら脚じゃなくたって・・・。俺は佐々木さんの脚をもう一度見た。ストッキングで包まれている脚は細く、しなやかで、膝の裏なんかは特に綺麗だ。柔らかそうなその脚にはスカートを押し上げるお尻が続く。そのお尻もきっと柔らかいんだろうなあ・・・。手は少し小さいし、俺なんかが握ったら全部収まってしまいそうだ。腕も細くて、でも柔らかそうなのが時おり見える手首から続く腕でわかる。歩く度に揺れるお尻と腕と髪の毛。つい近くに行ってしまうと、ふわっと不思議な香りが鼻腔に広がるんだ。前できちんと閉められたジャケットの上からでもわかる豊満な胸。二の腕の下はその胸の形に沿って張っている。そして細い首筋。何度も何度もそこを触りたいと感じていた。唇はぷるぷるだし、舐めると甘い味がしそう。頬も白く、まるで陶器のようだ。瞳は・・・・・あれ?

「あ、佐々木さん・・・」
「芹沢さん、どうしたんですか?帰ったらお茶出しますよ。」
「えっ、いや、大丈夫!です!」

 なんてことだ。本人に気づかれるまで佐々木さんの身体を見ていただなんて・・・俺も霊幻さんみたいに、いつか鳩尾に肘を入れられてしまう・・・!できるだけ考えないようにしようと感じつつも俺の脳裏には佐々木さんの太股がまだ残っていた。



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