ドーナツの輪の真ん中から考える
 さらさらしてそうな純の髪から香るこのはちみつみたいなのはなんだ?俺はわけのわからない動悸を考えてみた。まずアイツは何事にも俺につっかかってきては全くタイミングが合わない。そりゃもう恐ろしいくらいに喧嘩をする。相手が女だからって容赦しねえ、そう思っていたのにいつの日からか俺は純をみるとキュンと胸が締め付けられるし、ちょっと馬の合う日にお喋りしていると思いきりアイツが笑ってそれをみるとなんだか無性に嬉しくなって飛んでいってしまいそうな気分になる。俺はその全てが訳わかんなすぎてまず小さな疑問から調べることにした。髪の匂いなんて関係ないとは自分でも思うが、なんだか毎日気になってしょうがない。
 くんくん。俺より頭一つ分小さい純の上に鼻を持っていく。すげえ甘い匂いがすんなあ。心なしか腹が減ってきた気がする。すんすん、と更に嗅いでみると額を叩かれた。いってえなー!

「何すんだよ!」
「こっちの台詞なんですけど!何よいきなり人の匂いなんか嗅いで!失礼なんですけどー!」
「は?何が失礼なんだよ!」
「どうせ臭いとか思ってたんでしょ?!」
「甘い匂いがするから気になったんだよ。」

 なぜか純は、俺がそういうとびっくりしたような顔をして俯きながら髪の先っぽをいじり始めた。なにしてんだこいつ。

「これはシャンプーの匂いよ。将ってそういうの気にする人だっけ?」
「いや・・・別に。」
「嫌いだったの?」
「え、好きだけど・・・」

 ぼんっ!と顔を赤くした純に驚いている隙もなく怒鳴られた。「うるさいわね!」って、俺言わない方がよかったのか?よくわかんねえなあ。

「む、胸が痛い?!」
「おう。たぶん純もビョーキなんだけどよ、どんなビョーキなんだろうな。」

 律は呆れたような顔してため息をついた。完全に呆れてるじゃねえか。純に対するこのカンジも、純の態度も絶対に何かがおかしいのは俺にだってわかる。でもそれがなんだかわからないんだ。だから律に聞いてんのになんだよ。

「なあ教えてくれよ〜。わかんねえともっとモヤモヤするだろ〜?!」
「もうお前は分からなくていい・・・」



***
タイトルはエナメル様から。



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