∵ごきげんようお嬢様


暑い。
沖縄にきて、生活にも慣れたのだが、やはり真夏のこの天気には逆らえなかった
きっとこの娘もそうなのだろう。
この女は、かわいらしい格好で、アサガオの前にまるで絵に描いたように倒れていた
その女を起きるまで待っているのが今の俺だ
この肌の色、引きこもっていない限り沖縄の者ではないだろう
真っ白で透き通っているようだ。病人かと思ってしまう。
きっと観光かなにかでここまで来ていたのだろう

『ん…』
「お、気が付いたか」

目を覚ました娘に状況を話すと、驚くことも焦ることもなく丁寧にお礼を言われた
それが一週間前
今はアサガオの前に黒塗りの極道とはまた違った雰囲気の車を何台も
邪魔にならないように置いてあり、黒服の男たちがアサガオの外に立っていた
どうやら彼女は東京の方のお金持ちらしく、この前のお礼をとお菓子やらなんやら
いろいろなものをいただいてしまった
俺が悪いから何かするというと、笑顔でこのあたりを散歩したいと言った

「日傘はいらないのか?」
『ええ。今日は楽に過ごしたいんです』

そういいながら綺麗なパンプスを履いて桐生の手を取る
彼女は黒服の男たちに『こなくてもいいよ』と言って困らせたが、結局はそうなるらしい

『桐生さん、ですよね?』
「ああ、櫻井さん」
『はい。気を使って日陰ばかり歩かなくてもいいんですよ?』

彼女はそういうが、俺も今日は暑いし、というと納得した

『突然お時間いただいてしまって申し訳ありません』
「いいんだ。俺も話せてうれしい」
『ふふ、私もです』

にっこりと上品に笑う彼女
本当になんて白くて綺麗なんだろう

『私、あのあと家の者たちにとても怒られたんですよ!』
「はっはっは。そうだろう」
『ええ!そんなに怒らなくてもよかったのに!』

彼女と他愛のない会話をつづけながら歩く
もうアサガオは見えなくなっていた
すると突然目の前にあきらかに怪しい者が出てきた

「おいおっさん!そこの女、置いてってもらうぞ!」
「何言ってんだ?どうなってもしらねえぞ?」
『き、桐生さん、大丈夫ですよ…』
「いいから下がってろ」

影からもたくさんお仲間が出てきて、俺は拳を構えた
すると彼女がまた叫んだ

「なんだ!」
『私も闘いたいです!』
「はあ?!」

俺はその一言に唖然とした
闘いたいお嬢様なんてのもいるんだな
しかし俺が護ってやらねばならないのだろう、と回りの敵を倒した後だった

『き、桐生さん!』
「!どうした…!」

振り返ると、彼女が一人で立っていた

『た、倒せちゃいました…!』
「え…っと、いかん、追手がくるぞ、逃げよう」
『はい!』

彼女は元気よく返事をした
振り返った時に見た彼女の顔は真夏の太陽に負けなくらいの笑顔だった







『はあ…はあ…』
「だ、大丈夫か?少し飛ばしすぎたな…」
『いえ!…楽しかったです!』

いっぱい走って、いっぱい暴れて、こんなに楽しいの初めてです!
そう彼女は俺に力説した
俺もなんだか楽しくなって、一緒になって笑った

『またやりましょう!』
「こんなにハードな内容はごめんだぜ」
『あはは!そうですね!』


彼女との波乱な日々は今もすごく楽しい










オチがないですね…orz
お嬢様と桐生さんがかきたかったんです
そして名字で呼ばせたかった…!


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