「姫・・・あの・・・」
『姫なんて言い方で呼ばないで、普通に呼んで、でないと返事なんかしない』
私にそう言うのは、ドラコの父、ルシウス
私はマルフォイ家の髪の色が好きだし、毎年一緒にいる
ドラコは黙って後ろからついてきていた
"姫なんて、大好きな友人を思い出してしまうでしょう"
その言葉を飲み込んで、ルシウスの目を見た
「・・・○様、あの・・これが終わったら、私は動くので、ドラコをお守りください・・・」
『わかってるわよ、私もドラコを巻き込みたくない・・・』
ドラコには聞こえないように話す
この人だかりと、交じり合う大勢の話し声で、ほとんどは消えるだろう
ルシウスは子供思いのいいやつだ、少し気が弱いけど
「学校でも、ドラコからあまり目をはなさないでください・・・」
『いいけど・・・学校での私だって忙しいのよ、そこも頭に入れておいて。』
「ああ、申し訳ございません・・・」
そのままルシウスは引っ込んで、ドラコに父親らしい背中を向けた
こんな背中を、ドラコは尊敬するのだろう
「すっげー!一番上だ!」
聞きなれた声が上から聞こえてきた
その声は、ロン・ウィーズリーで、ハリーやハーマイオニー、双子もジニーも、ウィーズリーおじさんもいた
私の壊したくない人たちだった
その声に反応して、ドラコとルシウスはつっかかった
「こうとも言える・・・雨が降ってきたら、真っ先に濡れる場所だ」
「僕たちは魔法大臣、直々の招待で、特等席さ」
ドラコの腹を杖で殴るルシウス
「これドラコ、自慢するな」
私はその様子を、離れたところで見て、クスッと笑った
なんだか微笑ましい光景だ
その会話は終わり、ハリーの後ろ姿を見つめ、私は駆け出した
『ハリー!』
振り向いたハリーの目は丸くなって私を見つめた
「○?君も来ていたの?」
『そう!でもごめんなさい、時間がないの・・・ハリー、』
私は真剣な目でハリーを見た
『これが終わったら、みんなすぐに逃げて・・・』
私はハリーの聞き返すような言葉を無視して、ドラコたちを追った