『「遅れてすいません!!」』
私とマルフォイはスライディングで授業に入った
「とりあえず落ち着きなさい。二人とも箒の横に立って」
先生の言うとおり箒の横に立った
横からハリーが話しかけてきた
「ねえ○、なんでマルフォイと一緒に来たの?」
『そこの曲がり角でぶつかっちゃって…』
「ふーん……」
ハリーはあまり気に食わないような顔で目を箒に移した
そりゃそうよね。だってマルフォイはハリーたちのことからかうし…
「ミスサクラ?授業中ですよ?」
『あ、すいません!』
しっかりしなきゃだなあ…私。
箒に向かって上がれ、と言うと、箒は素直に私の手の中に納まってくれた
その横でロンが箒に額をぶつけられて私は思わず笑ってしまった
『しかし久しぶりだなあ』
私は森の中の自分の家を思い出す
唯一のストレス発散とでもいっていいほど楽しみだったのが箒だ
ある日ナルシッサが箒を持ってきてくれたのだ
乗ってみると楽しくて、一週間に一度だけだったが、箒には何回も乗った
箒に乗ってあちこちを見て回ったり、鳥と一緒に飛んだりもした
『先生も見てないし…いいよね?』
私のちょっとした悪い心が働いて、皆が見えない所で地面を蹴り、皆が見えない所で箒に乗って飛び回った
その間、下では大変な騒ぎになっていたようだ
ネビルの箒が暴走して、先生がネビルを医務室に連れて行った
聞こえたのはマルフォイの声だった
「屋根に置くか?」
それはハリーに言っているもので、手元にはネビルの思い出し玉が見えた
マルフォイが飛んできて、次にハリーも飛んできた
途端にハーマイオニーの声が聞こえた
「ちょっと○も黙ってないで止めてよ!…ってあれ?」
『何?ハーマイオニー』
ハーマイオニーは私の声がするほうがわからなかったのか、辺りをキョロキョロと見渡す
『上だよ〜!』
私がハーマイオニーを呼ぶと、ハーマイオニーは呆れたような顔をした
マルフォイやハリーは私がいたことに気付かなかったのか、目を丸くした
私がそれに構わずに飛び回っているとハリーが声をかけた
「ねえ○!何やってるの!?」
『何って…箒に乗ってるんだけど…』
「見れば分かるよ」
ハリーは苦笑いする
『それよりあなたたちこそ一体全体何を始めるっていうの?』
「マルフォイがネビルの思い出し玉を取ったんだ!」
『だめじゃないマルフォイ』
「フンッ」
二人は本当に仲が悪いんだなあとつくづく思う
『じゃあお二人さんはやっててください。私はもう楽しむことしか考えてないの!!』
「「うわっ」」
私はハリーとマルフォイの横を全速力で通り抜ける
その振動で二人とも箒でバランスを取るのが精一杯だ
「た、楽しそうだね、○…」