わたしのヒーロー | ナノ



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「………よォ。この前は楽しかったか?ガッコー」

「さいっっっっあく。馬鹿じゃないの」

「そう怒んなよ。先生も了承済みだ」

「んなっ……」





………………なら、いいか…





「貴方はあの方の事となると本当にチョロ………従順ですね」

「黒霧、今チョロいって言ったよね?血抜かれたいの?」




"気が立ってますね"と奥にそそくさと逃げる黒霧を横目に、カウンター席に座る弔と距離を置いてソファ席に座る。

ここは私のいつもの席になっている。

が、上機嫌な弔はわざわざ私の向かいの席に座りなおした。




「………報告。オールマイトに何度か接触した。

良い印象も与えたし、これからも怪しまれない程度に媚びるつもり。」

「この前テレビ出てたな。憧れてたヒーローだって」

「うわ、アレ使われたの……」




家でテレビ見ないから知らなかった……

裏から戻ってきた黒霧は、私が席について弔が移動している事に気づいて飲み物を持ってきた。

たいした報告でもないし、後で弔が言うでしょう。繰り返すのめんどくさい。



「赤武器 血華、こちらからも報告します。」

「……え。なに、もう何かするの?」

「ええ、明日貴女のクラスはとある施設で演習を行うという教師側のカリキュラムが手に入りました。」

「……へぇ、もう一人のスパイは優秀ね」




私の他にもう一人、雄英にはスパイがいる。

目的は雄英側の情報をリークするため。

私とは異なるし、もしどちらかが捕まっても共倒れにはならないように、お互いスパイであることは明かしていない。

だから誰がスパイなのかは知らない。





「そこに私達は脳無をつれて襲撃しますが、まだ貴女は正体を明かさないように。」

「…………わかった。」




なによ、それ。

ここでもしオールマイトが死んだら、私の復讐ができないじゃない。





***



「今日のヒーロー基礎学だが……

俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」



…………なった?

当初の予定どおりではない、と言うことか。
やはりあのマスコミの一件がただのマスコミの暴走ではないことに勘づかれたか。

日を跨いで言ってくれたら、黒霧たちに報告できたのに……

なんで生徒へ与えられる情報はいつもの直前なんだ。


三奈ちゃんが手を上げて何をするのか質問すると、相澤先生は人命救助訓練だと答えた。

レスキューか……

私の個性はどちらかと言うと戦闘向き。

外傷の応急処置ぐらいしか役に立てることが思い付かないけれど、その辺も教えてもらえるのだろうか。

今後、連合のサポートに使えるし"あの方"に何かあった時に役に立てるし褒めてもらえる。


考えても無駄か。どうせ襲撃されてそれどころじゃない。



「血華、どーする!?コスチューム着る?」

「んー、レスキュー向きな個性じゃないし…着ようかな。三奈ちゃんは?」

「もっちろん!着るよ!」



バスへ向かうと、晴れて委員長となった飯田くんがスムーズにバスに乗れるよう皆を並べていた。

が、彼は普通のバスの席を予想していたが大幅に外れてしまい、ほぼ自由な席となった。

私は前半の方の向かい合う席で、1番前の端に座り、隣は三奈ちゃんになった。
三奈ちゃんの横を見れば、青山 優雅くん、上鳴 電気くんがいる。

私に向かい側には飯田くん、その横に緑谷くん、蛙吹 梅雨ちゃん、切島くんが座っていた。

ちなみに飯田くんは指示が間違っていたため落ち込んでる。
彼は感情に正直な動きするなぁ。



「私、思った事を何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」

「あ!?ハイ!?蛙吹さん!!」

「梅雨ちゃんと呼んで」



ああ、出た。"梅雨ちゃんと呼んで"。
これみんなに言ってるなぁ、梅雨ちゃん。

私も蛙吹さんって呼ぼうとしたら言われちゃって、
"梅雨ちゃんって呼んでいい?"なんてテンプレなセリフに先手打たれたのをよく覚えてる。



「あなたの"個性"、オールマイトに似てる」

「…!」



オールマイトに、似てる?

確かに彼はシンプルな増強型個性。
だけど彼には力を使うと身体が傷つくという条件付き個性だ。

ならば似てるというのは妥当ではない。



そういえば、オールマイトの後継者の話を、雄英合格が決まったときに"あの方"から聞いた。

雄英の生徒から後継者を選ぶはずだと。
あわよくばその後継者に選ばれれば一番良い形の復讐になるとは思ったけど、
気張って変なミスをしたら元も子もない。

後継者に関しては、めぼしい人物がいれば報告するということで決着した。



後継者になれそうな優秀な生徒と言えば、
推薦入学の轟 焦凍くん、八百万さん、

それと、
入試トップ合格の爆豪くん……

オールマイト前の人は女の人だと言っていたし、女子にも目を向けると八百万さんを候補から外せない。

うちのクラスだけとは限らない…B組や他学年も怪しいな……

なんにしても、後継者に選ぶほど目をかけるなら、何かしら贔屓しているような場面が見られるだろう。

注意深く観察しなくてはいけない。



もし、もしも、


後継者として爆豪くんが選ばれれば…







もしかしたら、爆豪くんが……………


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