わたしのヒーロー | ナノ



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ヒーロー科は、不愉快だ。

ヒーローになりたいという人間は当たり前のように周りに存在した。

その中には、No.1のオールマイトを越えられないことは当たり前だと考える人間も、

オールマイトのようになりたいと考える人間も、たくさんいた。


あの偽物のヒーローが、ヒーローとして最も理想であると掲げている猿が、たくさんいた。



誰も、アイツより上に、本物のヒーローになろうとする人間はいなかった。



不愉快だ。

不愉快だ。


アレを本物のヒーローだと勘違いしている世の中は、


不愉快だ。






「俺に勝つなんて二度とねェからな!!クソが!!」


………何をしてるんだあの二人。

校門のすぐ近く、帰るには必ず通らなくてはならない一本道で、

クラスメイト二人が青春をしている。

そんなところを通ってみろ。確実に気まずくなる上に悪目立ちする。


正真正銘のオールマイトファン緑谷 出久くん

そんな彼と何やら因縁のある"爆発"個性爆豪 勝己くん


緑谷くんは増強型個性だ。
それだけでも不愉快極まりない。

オールマイトファンを装っているため、いつ彼に絡まれるかとヒヤヒヤしている。
極力関わりたくはない。


爆豪くんは成績優秀で、入試もトップで入学した優等生だ。見た目に反して。

通常、優等生とは仲良くしておいて何ら問題はないのだが……

彼は恐らく仲良しこよしを嫌う人間だ。
言葉もきつくプライドも高いので、クラスの人達も距離を計りかねている。


今現在彼らに関わるメリットがない。



私は少し大きめな花壇の後ろに身を隠して、二人の青春が終わるのを待った。

しばらくすると揉めていたのも終わったのか、爆豪くんが帰ってく姿が見えた。

よし。ここでもう少し待ってから帰ろう。

本当に今日は疲れた……サイン色紙燃やしたらスッキリするかな……

と、思ったが。



「いたー!!!爆豪少年!!」と、爆豪くんに向かって空気を切り裂き走ってきたオールマイトが現れた。

プライドの高い彼が今回の対人訓練での敗北に心を痛めてるのではないかとメンタルケアをしに来たようだ。


「言っとくけど…!
自尊心ってのは大事なもんだ!!君は間違いなくプロになれる能力を持っている!!」



プロって言うのは?

何を持ってしてのプロ?

偽物のヒーローのプロなんてなんの意味があるの。


助けてくれなかったヒーローに、ヴィランを捕まえられないヒーローに、

なんの意味があるの。




「君はまだまだこれから……」

「放してくれよオールマイト。歩けねぇ。」



どうして、この世には本物のヒーローがいないの。

どうして、この世には偽物のヒーローより弱いヒーローしかいないの。

どうして、誰も本物のヒーロー偽物の上になろうとしてくれないの。







「言われなくても!!俺はあんたをも超えるヒーローになる!」











「……ぇ」





あれ。"越える"?

越えるって、え…誰を?



オールマイト…を…?









見つけた。


本物のヒーローを。


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