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「可哀想に」
"あの方"は私にそういった。
最愛の母を誤って傷つけてしまい、息が薄れていく彼女の側で助けを求める私の前を、
誰もが憧れ、頼る存在である"平和の象徴"が、横切った からだ。
涙を流す幼い私と、血を流し横たわる母が居たにも関わらず、だ。
母の呼吸が止まった後、私の元に現れたあの方は、
私に手を差し伸べて、"これからの人生"を用意してくれた。
"平和の象徴"と持て囃されながら、
私と母に目もくれず、
"あの日"の事を公から隠した、
あの、偽物のヒーローに復讐をする道 だ。
私は赤武器 血華。15歳。
オールフォーワンの配下、敵 連合の一人。
ヒーロー養成校の中で最も人気、最も難関であり、
多くの有名ヒーローを排出した国立高等学校
"雄英高校"
そのヒーロー科に生徒として潜入し、
ヒーローの卵達に紛れ、
オールマイトに取り入る。
私の正体を明かした時、
あの偽物がより傷つくために。
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