憎きシャンクスを彷彿とさせるルフィ。

ルフィに何度もいじられるコンプレックス。

宝を盗まれ、それを自分の宝だと言い張るナミちゃん。


様々なルフィ一行の精神的攻撃により、バギーは最終手段のバラバラフェスティバルを発動した。

なんかだいぶ細かくなった身体で、さっきの下半身のような攻撃の的がなくなった。

と、思ったが、

足だけはどうやら浮かないようで、徐々に細かい身体を集めて上半身を作り、再びナミちゃんを追いかけ回し始めたが、

容赦など知らないルフィは地面に残された足をくすぐったり、爪先を地面に叩きつけたり、くるぶしをつねったりと、足だけでいくつも攻撃を繰り返す。

少しバギーがかわいそうになるくらいだ。


トドメにナミちゃんが宝の入った大きな袋をバギーの顔面に向けて振りかぶる。

下手したら死ぬって。

しかし諦めの悪いバギーはそれを受け止め、ナミちゃんとの引っ張り合いになる。
そんなバギーの顔面に、"お前の相手は俺だっていってんだろ"とゴムのバネを活かした協力なキックが決まった。




「リッチー、ごめんね。すごく頼みづらいんだけど………」




リッチーは自分の船長を追い詰めることになるにもかかわらず、私のお願いを快く引き受けてくれた。

良い男だ。惚れてしまう。




「おい……待てゴムゴム!!」

「げっ、まだ生きてる」

「貴様を殺す!!!」




けりによって延びたと思われたバギーは再び首から上だけ浮き上がり、ルフィの背後に立ちはだかった。



「集まれ!!バラバラパーツ!!!」



まだやるか、と思われたその時、バギーの首に集まったのは両手と両足、しかも手首足首から下だけという。

その原因は、私とナミちゃん。

私がリッチーにお願いをしたのはバラバラになった身体を集めてナミちゃんの近くまで運ぶこと。

ナミちゃんはすぐに察して、持参したロープで縛り上げたのだ。



「探してるのは、これ?」

「うげっ!!俺の体達パーツっ!!」



そこに生まれた隙に、ルフィはゴムゴムのバズーカを決めて、勝敗は決した。

空の彼方へバギーは飛ばされてしまったのだった。




「ありがとっ!リッチー!」

「ゥオウ!」





勝った勝ったと喜ぶ(というかスッキリした感じ?)ルフィはナミちゃんが改めて仲間になってくれると思っていたが、
ナミちゃんは頑固として"仲間"ではなく"手を組む"と言い張るも、
"儲かりそうだから"と共に行動することには異論を唱えなかった。

バギーのナイフによって穴の空いた大事な麦わら帽子。
"被れるからいい"と言ってしっかりと被り、こちらに歩いてきた。


あ、そうだ。ゾロ。



「ゾロ!起きて!勝ったよ!」



眠りの深そうなマリモ頭をベチンと叩いて起こすと、すんなりと起きてきた。

"ダメだ、歩けそうにねぇ"とぼやくゾロにナミちゃんは"歩けたら人間として認めない"という辛辣な言葉を浴びせる。

全く同感だが。



「リッチーがゾロ乗せてくれるってさ」

「お、気ィ効くじゃねぇか猫」

「リッチー」

「猫だろ」

「リッチー!!!」




遅れて現れた町の住人達。
町長をぶっ倒したのは自分だと彼らに正直に伝えるルフィは、見事町を襲った海賊だと勘違いされてしまい、
全力で港へ逃げる羽目に。

わかってたことなので、手早く(重かったけど)ゾロをリッチーに乗せて、私もリッチーに乗った。


このまま連れていきたいほど仲良くなってしまったが、やはり正式な主はモージな訳で。

町の人に追われている状況だが、別れを惜しんでしまう。




「いい町だな!!」

「え?」

「町長のおっさん独りのために、あんなにみんなが怒ってる!」




追ってくる町の人と私たちの間に入って足止めをしてくれたのはシュシュ。

吠えて、威嚇して、一歩でも動けば噛みつかんばかりのシュシュの様子に困惑する町の人達。




ああ、本当にいい町だ。




港に着くと、この島に来る前に会った3人組がナミちゃんを待ち伏せていた。

どこに言ったのかと思えば、ここで待ち伏せていたのだ。忘れてた。

しかしそれも些末な問題。




「あれ?!リッチー!!!」



私とゾロが乗るリッチーに気づき、



「あれ!?貴女は!!!」



リッチーの上に乗る私に気づき、



「まさか!!!?」



同じくリッチーの上に乗るゾロに気がついた。

原作通り、3人組はすごい勢いで泳いで逃げていった。

………泳いでどこに逃げる気なんだ。面白いな。



帆を拡げて、船が動き始めたとき、私たちを町長さんが呼び止めた。




「すまん!!!恩に着る!!!!」




自分達の町を蹂躙され、家を失い、親友の遺した店を守れず、親友の家族シュシュを悲しませた。

そんな絶望が重なり、死んでもいいと思っていたなげやりの町長さんを、文字通りルフィは殴ってでも止めた。


町長さんは生きて、町の平穏が戻った。


町長さんとシュシュだけが知っている。


ルフィは、この町の大恩人だ。





大恩人はにっかりと笑って、


「気にすんな!!楽に行こう!!」




そう叫んで、出航した。



「リッチー!!ありがとう!!またね!!」


「オゥ!!」





また会える。きっと。だから、

















「全く……アンタはまともだと思ってたけどとんでもない!

頭の方が異常よ!!」


「めんぼくない……」


「だいたい、なんでアンタあんなに敵のペットと仲良くなってんの?
なんで目開かなくなるくらい泣けるのよ…」


「ちがうもん……かなしくないもん……」






だから、悲しんでないもん。

火傷が痛いだけだもん。
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