助けるべきか、助けぬべきか。


いや、人として助けるべきではある。


いやだが…………主人公だよ…?






常に危険が周りを舞っているような……いやむしろ危険に自ら舞いにいってるようなあの主人公、モンキー・D・ルフィだよ??


そりゃ大好きだけど………関わったらろくなことが…………









まだ、小舟。

まだ、2人。

まだ、東の海イーストブルー



てことは、


これから、ナミちゃんウソップサンジくんと出会う。





これから………




偉大なる航路グランドラインにいく!?





こ、こ、こ、これは……




偉大なるグランドラインに行くチャンス!!!!!





「あの、あの!!!大丈夫ですか!?」




ほっぺたをペチペチなんて優しく叩いても反応があるわけないことは知っている。

なのでちょっと強めに叩いてみたら、さすがのルフィも起きてくれた。





「よかった起きたんですね!遭難でもしたんですか?大変でしたね!お腹空いてませんか?うちで食べていきませんか?」




多少というかだいぶ怪しいセールスマンのような早口のマシンガントークに一瞬着いていけなかった寝起きのルフィ。

しかし"食べる"という言葉に大きく反応し、言葉より先にヨダレが出ていた。









***






「っうんんんんめぇーーーー!!!」


「まだおかわりありますよ。」


「おかわり」


「はぁい」




マリモと麦わらを家に招いて三時間。

この2人、ずっと食べている。



小舟に食糧らしきものがなかったから、腹が減って倒れていたのだろう。

ナミちゃんがいないから島も見つけられず、倒れて流されたところ、偶然うちの島に着いたってとこかな。


ちなみに2人を招いて家に着くまでの間に大量に食材を買ったので、まだまだご飯は作れる。

これだけ投資したんだ。多少恩着せがましくなっても構わないだろう。

ゾロの方はそろそろ私を疑い始めたし。





「んで。アンタ何が目的で俺たちにここまでするんだ?」

「あ?何言ってんだゾロ!こんな親切な奴に!失礼だろう!」

「あ、すみません。目的あります。」

「あんのかよ!!」



目玉を飛び出して驚くルフィ。

この人本当に警戒心ないな。


私は2人に向き直って、正座をし、手を着いた。

土下座の一歩手前の状態だ。




「三本の刀、腹巻きに、腕に巻いた黒い布……海賊狩りのロロノア・ゾロさんですよね?」

「ああ。」

「ということは、海に出てらっしゃるんですよね?」

「こいつついこの間俺の仲間になったんだ。海賊だ。」

「海賊!なおさら都合がいい!」

「「?」」




白々しいだろうが、18年ここに住んで今さら"違う世界から来てあなたたちのことめっちゃ知ってます"なんて説明…億劫だ。

もう私はここの住人として生きていく。

原作を知り尽くしているということは、安全な場所を知っているということ。

激弱でも知識のあるなしじゃ生存確率に大きな差が生まれる。


そう!私は前世を活かす!!!前世を活かし!悔いのない現世を生きるのだ!!!




「もしや海賊団成立したてでは??小舟でしたし…2人だけのようですし!」

「お前スゲェな。当たってる」

「やっぱり!東の海イーストブルーの後はどこか行かれる予定ですか?」

「「偉大なる航路グランドライン」」

「!…私も連れてってください!!」





ルフィは"友達"と"仲間"に区別する。

"仲間"は船に乗せるけど、"友達"は船に乗る事情がないと乗せて貰えない。

ビビちゃんに関しては途中から仲間になっていたけど……私もそれを目指すんだ!

まずはどんな状況でもいいから乗せて貰う!!

そこからルフィに引き留めて貰えるような立派な"仲間"になり、その先の航海にも連れていって貰う作戦だ!




「私、生き物が好きなんです……より多くの生き物を調べたくて……東の海イーストブルーの生き物は既に図鑑に載ってますが、偉大なる航路グランドラインは違う!!

図鑑にも載っていない見たこともない生き物でいっぱいなんです!!私、それが見たい!!」




志っつー志もないけど前世を志半ばで果てた。

後悔は人並みにあった。


もう後悔したくない!





怖いし危険だけど、それでも行かないなんて、絶対後悔する!!

ましてや、ルフィにあった後なんて後悔しまくりだ!





「それに!!」

「「?」」


「この食事代、私の今までの全財産使い果たしたんです。
この島で暮らす金はもうありません。それくらい投資したんです。断らせません。」


「んな!!!オメーは詐欺師か!!!」


「なんとでも言ってください!!私はどうしても海に出たいんです!!」


「一人で出りゃいいだろ」


「か弱い乙女が一人でなんて危険すぎます!何のために悪名だかいロロノア・ゾロさんに投資したと思ってるんですか!」


「どっこがか弱いんだ!?アァ!?」



正直戦闘に関しては役に立つ自信は欠片もない。

ナミちゃんはもともと海賊にいてゴロツキぐらいなら倒せる力を有しているだろうが、私が最弱であろう。

はっきり言って足手まといだ。

だからこそ知識を持って逃げる。

だから足は引っ張らない。と思う。



「お願いします!!!」

「んま、いっか。お前おもしれぇし。」

「ほんとですか!!」

「おう。金も返せねぇし。」

「やったぁ!!!」







ってことで、ゴリ押しで船に乗せて貰うこととなった。

ルフィがどういう認識で私を見てるかは知らないが、それでも一歩前進。

今は十分だ。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -