「そんでですね、そうそう!そう身体捻れば体力奪われないでしょう!」

「んんーなるほどぉ……」


私よりは遥かに強いヨサクが、口頭で私の薙刀の指南をしてくれてる。

案内はジョニーがしてるし、暇だからと受け入れてくれたのだ。

途中、女性目線でのアドバイスをナミちゃんが挟んでくれて、私はなんとか薙刀のスキルが上がってきた……気がする。

たまにゾロが手を合わせてくれるけど実力差がありすぎて上達してるのかわからん。

それより、弓の精度が上がった。

ウソップのお陰で、的に50%くらいの確率当たるようになって、すごく気持ちがいい。



「着きやしたっ!!!海上レストラン!!
ゾロの兄貴!!ルフィの兄貴!!ウソップの兄貴!!ナミの兄貴!!アキの兄貴!!」


「ジョニー!!ナミちゃんは姉貴でしょうが!!」

「アンタも姉貴でしょうが!!」

「あいてっ!」


ここしばらく食らっていなかったナミちゃんの鉄拳。
めちゃめちゃ痛くて頭から爪先にかけてジーーーンと響く。

そんなことは些末なこと。
海上レストランバラティエの魚のようなデザインの船を見て皆テンションが上がる。

が、それも一瞬のことで、いつの間にか隣に並ぶ海軍船に釘付けになった。

船体に付いた立派な大砲に、いつ撃ち込まれることかとビビり、大砲が当たっても死ななそうなゾロの後ろに隠れる。

その船に乗る海軍大尉の"鉄拳のフルボディ"は船長はどいつだと聞いてきて、素直にもルフィが名乗り出た上に海賊旗が一昨日できたばかりであることまで伝えた。

ヨサクとジョニーに見覚えのあったフルボディはルフィとウソップを無視して二人に注目した。

"小物狙いの賞金稼ぎ"と揶揄されたことに少しばかり腹を立てた二人はフルボディに襲いかかり、

ぼこぼこにやられていた。



「……もしや私の目指すべきはヨサクとジョニーあそこじゃなかった?」

「いや、まぁ1歩目には妥当な目標だろ」




コイツ割りとひでぇなゾロ。

一方フルボディは色っぽい姉ちゃんが急かすのでバラティエに急ぐことになり、下がっていった。

ジョニーの懐から散らばった賞金首のリストを拾い上げたナミちゃんは、ある一人の男の写真を見て硬直した。



「……………な、」

「おいやベェぞ!!!あの野郎大砲でこっち狙ってやがる!!!」

「何ィ!?」

「やっべ、ナミちゃんアイツ誘惑して止めてよ」

「誰がやるかァ!!」



思わずナミちゃんに声をかけようとしたけれど、ウソップの声で掻き消されて、
さらに思わずふざけてしまいまた鉄拳を食らった。

いたい。

ルフィが前に立ってゴムゴムの風船で砲弾を返そうとするけど、
もともと無差別放射のあの技にコントロール昨日はない上、
大砲の練習でわかるとおりノーコンなので、

間違えてバラティエの方に返してしまった。




「おおおおおおれ!!!謝ってくる!!!!」

「いってらっしゃーい」




半泣きでバラティエに向かうルフィに手を振って、私はどうやって毒ガスから逃れようか考えている。

ゴムゴムで飛んでったルフィを気にすることなく、船をゆっくりバラティエの船に付けて
長いこと待ってみたけど、全然ルフィが帰ってくる気配がない。

せっかくだし、ウソップの提案でご飯を食べに行くことになった。



「あれ、おめェいかねェのか」

「先行っててー。薙刀の留め具になんか引っ掛かってて……」


さっきまで振り回してた薙刀が折り畳めなくて困っている。

くそぉー!ルフィが鼻くそをゾロの飲み物にいれるイタズラ見たいのにぃ……

それにしても、本当に毒ガスどうしようかなぁ……
アレ何とかしないとあの名シーン見れないよ……
見る前に死ぬよ。



「何十分そうしてんスか?
もうそのまんまでもいいんじゃないすか?」

「……そだね、この薙刀で脅してマスク取ろっか」

「え、ます…え??」


あ、やべ、声に出てた。

それより早くバラティエのご飯食べたいからもう行こ。


「ヨサクとジョニーは絶対安静だよ?」

「「うっす」」


バラティエの船に降りて、この先にレストランが広がってるであろう扉の前に立つ。

うひゃー、ここがあのバラティエ!

でもまって!お高めのレストランなのだから、もしかしたらドレスコードがあるのでは!!

ムリムリ!あんな堂々とナミちゃん達みたいに入れない。

くっそ!!やっぱり皆と一緒に入ればよかった……

もう鼻くそのイタズラ終わっちゃったよねぇ…


おずおずとゆっくり扉を開くと、お客さん全員の目がこっちに向いた。


「ひぇ……」


扉から顔を出して辺りを見渡すと、一際騒がしい席を見つけた。
しかもそこには、初めて見るけど知っている綺麗な金髪の男の子が。


「あ!アキー!こっちこっち!」

「な、なみちゃ……」

「プリチィィィィィィィィイ!!!!」

「!?」



金髪の男の子、サンジくんは目にも止まらぬ速さで私の前に跪き、右手を取って両手で包み込んだ。

え、え、サンジくんて可愛い女の子や美人なお姉様限定でメロリンになるんじゃないの!?

私程度も対象なの!?



「なんって可愛らしい……小さな妖精さんが間違えて舞い降りてきてしまったのかと……」

「あぎゃ、あり、ありがとうご、ざいます」

「あちらの席がご所望ですね。すぐにフルーツのマチェドニアをお持ちします。お酒は飲まれますか?フェアリー」

「あ、ぇ、のみ、ません」

「かしこまりました。それでは紅茶はどうでしょう」

「あじゃ、あの、ダージリンとか…」

「喜んで!!」



ヤバイ。
純日本人精神である私にこれはキツい。
プリチーとか可愛らしいとか妖精さんとか舞い降りるとかフェアリーとか、
こんなん慣れてないしサンジくんみたいなイケメンに言われて心臓が3ミリくらいに小さくなってる。
ぎゅっっっっって小さくなってる。


これは…………




思った以上にサンジくん苦手かもしんない!!!!!
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