見えた。





猛スピードで駆け巡る森の風景。

その理由は道案内である私が、全力で走る迷子のマリモに抱えられているから。


そして森の出口が見えた。

その奥には、海。



ここが北の港。


そしてウソップがたくさんの海賊に襲われているのが見えた途端、

私の体は重力に押され地面に叩きつけられた。




「ぶへっ」

「ナミ てめェ!!!よくもおれを足蹴にしやがったな!!!」

「ウソップこの野郎!!!北ってどっちかちゃんと言っとけぇ!!!」



ゾロは私を抱えていた手を放して、ウソップに襲いかかる海賊を、

ほぼ同時に到着したルフィと共に一掃した。


そういうことで、敵の意識はあの2人に集中している間に私は森の茂みに身を隠した。


ルフィたちにやられてヨロヨロになった海賊たちは、催眠術師ジャンゴの催眠術によって闘争心と筋力が異常なくらい爆上げされた。


さらに言うと遠目で催眠術を見ていたルフィにもかかっている。


だが、モブに戦闘力+100と

ルフィに戦闘力+100だったら


そりゃ、ルフィに敵うはずもなく…………


蜘蛛の子を散らすように吹っ飛ばされ、ルフィは敵の船の船首をもぎ取り、振り回そうとした。

すんでのところでジャンゴが眠るよう催眠術をかけて、ルフィはもぎ取った船首と共に仰向けに倒れた。

船首の下敷きにはなっているが、まぁ効かないだろ。ゴムだから。



ジャンゴは船からニャーバン兄弟ブラザーズを呼び出した。

船から飛び出しゾロの前に立ちはだかったのは、クロの海賊団のシンボルである猫耳をつけた男2人。

片方は服で分からなかったがとんでもない猫背で、
腹部を切り裂いたゾロの攻撃は当たらず、絶妙な兄弟のコンビネーションで強力な攻撃を仕掛けてくる。


私は急いで、避難しているウソップとナミのもとへ急いだ。


「2人相手に攻撃を受けっぱなしじゃ、らちがあかねェよ。援護する。」

「だめ!!」

「「!」」



私は鉛玉とパチンコを構えるウソップの手を掴んで、援護を阻止した。

突然現れた私にナミはどこ行っていたと怒鳴られたけれど、そんなこと気にしてる場合じゃない。

ウソップの援護はゾロが当たりに行く。そしてフラついたところで敵の攻撃が当たってしまうのだ。




「何すんだ!!お前ゾロがどうなっても……」

「アイツは自分でなんとかできる!!それよりも刀をゾロに届けるのが最善!!」

「だが!!」

「アイツはバカだから!戦闘中もこっちを気にしてる!!」

「!」


「ゾロは口が悪くてバカだけど優しいから!
私たちが今援護したらあの兄弟の攻撃がこっちに向くことを真っ先に考える!!

そして援護の鉛玉はゾロが自分から当たりに行くよ!!それじゃ本末転倒だよ!!」



「……………なるほどな」




ウソップは悟ったのか、私の言葉を聞いた後に、遠くに落ちてる二本の刀に目を配った。

それはナミちゃんも同様で、原作通りフラフラのウソップを気遣ってナミが行くと進言した。

私の方が足遅いしね。



だが問題は刀の近くに立つジャンゴだ。




「おい、どこ行くんだ!」

「ジャンゴがそう易々と刀取らせてくんないでしょ!援護する。」




私が背中に携えた武器を手にすると、ウソップは不安げな顔で私を見つめた。


「それ、この町の武器屋のモンだろ……使えんのか?」

「練習はした!!隙を作るぐらいはできるよ」




ナミと平行して走り、刀の近くまで来たところでしゃがみこむ。

刀にめがけて走るナミと、独特の武器を持ってナミちゃんに近づくジャンゴ。

ゆっくり、狙いを定めて矢と弦を引く。


大丈夫。

動く敵はまだ狙ったことないけど、どこら辺に立つかは分かった。


ジャンゴが余裕ぶってゆっくり歩いてるお陰だ。




ジャンゴが歩む足を私が狙う場所に置こうとしたその時、私は力一杯引いた矢と弦から手を離した。

もうここまで来れば分かるだろう。

一つ目の武器。それは持ち運びに特化した小さな弓。


短い弓矢だけど確実にジャンゴの足元に突き刺さって、奴の意識は私に逸れた。



「……!何のまね…あ!!!」



その間にナミはゾロの刀を二本の手にして思いっきりゾロに投げた。

気づいたゾロは二本とも受けとり、斬りかかる………その時だ。


異様な様子で一点を見つめ、ジャンゴもニャーバン兄弟ブラザーズも怯え始めたのだ。

その様子に手を止めるゾロ。


同じ場所を見上げると、そこにはクラハドール……いや、キャプテン・クロが立っていた。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -