2

こういうトリップ系って、だいたいキャラクター達と同じ中学校に通うって言うのが通例じゃないの??



私は少しばかり期待していた。

焦凍くんと同じ中学校に通えるのではないかという期待も確かにあったが、
どこかで"それはないか"と諦めていた部分もある。

それよりも、小学生の時に幼き緑谷少年とバッタリ出会っているという事実から、割りと家近いのでは???という考えを否定できないでいた。

ドキドキで入学式に訪れたのはいいのだが、うん。
新入生代表が爆豪少年じゃない時点でなんとなく察した。

いや、公式で"中学校の新入生代表は爆豪勝己だった"という記述はなかったけど……
なんとなくやってそうな感じ…するじゃん??
何でも一位取りたいマンだもの……
入試一位で新入生代表って流れ……やってそうじゃん??

新入生代表は七三分けの牛乳瓶の底のような眼鏡を付けた母父太郎もぶ たろうくん。
そんなあからさまなモブ感出したら逆に目立たない??って感じの子で、がり勉タイプとみた。

いや、まだ他の子との同中フラグが消えてない!!

私は諦めないぞ!!



そう思って一週間、廊下ですれ違う人達を凝視しても見覚えなぞなく……

私のこれからの3年間は、雄英に期待を膨らませる準備期間のようなものと化した。





「とむらー!みてみて私の連絡先一覧。こーんなに友達。一週間で!天才じゃない??」

「気持ち悪ィ」

「暴言!?」


ということなので、私はとむらと仲良くなろう大作戦を決行することにした。

え、なんで黒霧じゃないかって??
べべべべべべべべべべ、別に中の人贔屓とかじゃないんだから!!

黒霧よりとむらの方が歳が近いとか、仲良くなってなるべく殺されない路線に持ってこうとか、そういう意図があるだけで!!!

別に声がいいとかそんなそんな!そんなこと考えてないんだからねっ!

ってことで一人ツンデレごっこは終わらせて、
とむらのいつものカウンター席の隣に腰をかけてとむらを観察した。

あの有名な「お父さん」の手を顔につけたり、自分の両手で弄んだりしている。

そのうち私の視線に耐えられなくなったのか、"なんだ"と睨み付けてきた。


「何してんのかなって」

「お前に構う暇がねェ程忙しい」

「(構ってくれてんじゃぁんって言ったら消されるかな)…そっかぁざんねーん」

「よくあると思ったもんだ」


おや、会話続けてくれんのか。
こりゃとむらもだいぶ暇だったな???

いつもなら必要以上の会話は無視なのに。



「とむらぁーおでかけしよーよ」

「あ?お前と俺で?」

「そ。デート。」

「い……………そんなの興味あんのか」



あれ、乗り気だ。

おいおいそんなに暇だったのかよ。
昨日私がメールしたら全部無視だったじゃん。
先週私が出掛けたいって行ったら無視だったじゃん。

そんなに暇??
確かに最近活動ないけどさ??



「お年頃だもーん」

「どこ行くんだよ」

「近場だと学校の子とかに見つかっちゃうから、黒霧にワープして貰って旅行しようよ。北海道行きたい。」

「私ですか……」

「いくら食べよ」

「アイスなら食ってやる」

「本場十勝ミルクじゃん!いいね!行こう!」


デートではないが黒霧含めた3人で北海道にプチ旅行することに決まった。

とむらが乗り気だとこんなにトントン拍子で話進むのかよ。
私との扱いちがくね??ひどくね??

今日の北海道の気温が少し低いからと奥から黒霧が上着を2枚持ってきてとむらと私に渡してきた。

これとむらのやないかい。


「とむら、彼コート」

「んだそれ」

「彼シャツのコート版」

「だからなんだそれ」


マジかよコイツ彼シャツ知らねぇの??
知っといた方がいいよ。
彼女できたとき萌えるよ。

……………………彼女できるかなこの子。

じゃあ知らなくてもいいか。



「最近の流行りだよ。」

「あっそ」



その後、私たちは三時間だけ北海道旅行を楽しんだ。
お母さんのご飯があるからそろそろ帰らなきゃと黒霧に伝えたら、どうやらとむらはまだ北海道にいるみたいで(めっちゃ楽しんでる)、私だけ黒霧にワープして貰って近所の公園のトイレに飛んだ。




3年間これでも良さそうだな。




戻る 進む
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -