「とむら、みてみて」
「あ?」
中学生になった。
小学生のときと同様の反応を見せる父母八木さん。
娘を見るような八木さんの反応に複雑な心境は相変わらずだけれど、
前と違うのは八木さんの笑顔への安心感だ。
笑顔を見るたび安心する。
私は間違ってないと自分に言い聞かせることができる。
大事な局面まで敵連合との繋がりを悟られてはいけない私がアジトに向かうときは、
黒霧にメールで現在地の位置情報を送る。
すると黒霧は私のところまでワープし、すぐに私をつれてアジトまでワープするのだ。
そうして、今日はセーラー服が家に届いた日。
隙を見て黒霧にメールを送り、ガキが嫌いだと公式で言っていた弔にわざわざ見せるという嫌がらせを決行した。
案の定私に嫌な顔を見せる弔。
私は満足感に口許が緩んだ。
なんだかんだ言って、敵連合との関係は良好だ。
もともと漫画で見ていたときから死柄木弔と黒霧というキャラクターは嫌いじゃなかった。
むしろ好き。
精神年齢的に上の私は、そのうち弔の頭を撫でることはできないかと今は画策している。
まぁ、100%塵にされるけど。
敵連合の仕事が嫌いなだけだ。
私はオールマイトのために他のヒーローを犠牲にしなくてはいけない。
最低な行いなのは分かるけど、
私は守れる範囲が限られているから「仕方がない」といつも思考を停止するようにしている。
あの日誓った信念は曲げない。
必ず、私は八木さんを守るんだ。
「大人の階段登ったんだけど、どう?」
「ガキだな」
「あはーきびしー(ガキにガキ言われたー)」
私の仕事は拷問がメイン。
だけどまだ大きな活動をしていない敵連合で拷問する相手はあまりいないので、
別で他の敵のたぶらかし係(勧誘係)をしている。
どこから情報をつかんだか知らないが、つい最近AFOは八木さんが雄英の教師になるかもしれないという話を掴んだようだ。
そのうちAFOから雄英に通うよう言われるのだろう。
一度習ったことのある勉強はまあまあ感覚を取り戻して着いていけるし、
予習復習をすれば簡単に身に付いた。
正直言うと偏差値70超えがどのくらいすごいのか知らないけど、
頑張れば行ける気がする。
敵連合の都合で言えば、A組になる方が言いとは思うけど…………
A組には焦凍くんがいる。
会うの気まずいなぁ……
私のことどう思ってるかな。
エンデヴァーがあの日のこと話すとは考えられないし、
そうだとしたら私が突然来なくなった理由をどう話したのかな。
冷さんが何かを話してそうだけど……
冷さんの心労の原因に、きっと私が含まれてしまっただろうな。
それが原因で原作とズレがあったかも。
何か悪影響があったら、私はどう焦凍くんと向き合えばいいんだろう。
守れなかった、大好きな子。
次は守らなきゃ。
この先傷つくことがあるなら、私は彼を守る。
もしあの時守れなかったことを怒っていたとしても、私のやることは変わらない。
敵連合にいる限り、私は彼らを守れる。
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