普通の小学生と、何ら変わらない。
成績は普通を意識してるから、特出して目立つようなことはしていない。
だが人間、頼りになる人物と言うのはなんだか直感的に感じ取れるようで、
そもそも精神年齢の違う私は、幼子達の人気者になっていた。
「ナマエちゃん!」
「ナマエちゃんドッジボールやろー!」
「えっ!ナマエちゃん縄跳びしよーよ」
毎日毎日お子さま達の遊びにてんてこ舞いだ。
同じ子供なので体力はあるが、正直ヒーローとして何をするかとか、そう言うことばかり考えていた私にはキツかった。
これ、焦凍くんにもこういう遊び誘った方がよかったのかな。
いやでも、オールマイトの動画見るのめちゃくちゃ喜んでたし大丈夫か。
大人達の目から見ても、私は賢く、多少大人っぽいようで、
「ナマエちゃん、〇〇くんの事なんだけど……」
とまぁ、なんだか知らんが頼りにされる。
小学一年生に頼むことか??プライドあるか??
まぁ別に苦労はないのでその辺はいい。
問題は………
カランカランッ
「いらっしゃ………あら、ナマエちゃん、おかえりなさい」
「…………今日八木さんは…」
「もぉー、また八木さん?お母さんやきもち妬いちゃうよー」
最近、なんだか忙しいらしく、八木さんがお店に来ない。
会えてない。
スマイルチャージできてない。
んごぉぉぉぉおおおおおお!!ストレス溜まるうううううううう!!!!!
なんだか最近事件が増えてきたようで、オールマイトのTV出演率も増えて嬉しいやら、会えなくて悲しいやらでもうグチャグチャになっている。
はっきり言ってキツい。
私秘蔵、八木さんスマイルスケッチも、全然更新されなくなったし………
ええん……泣きたいよぉ……
「もっ、お母さんもそんなに寂しがられてみたいわぁ」
「お母さんいなくならないじゃん」
「そう言うこと言う子には、………じゃん!これはあげられないかなぁ?」
「…………………そ!!!!それは!!!!!!」
"No.1ヒーロー・オールマイト ドリームサイン握手ハグイベンツ!!!!"
オールマイトの握手会チケット!!!!
「ええええっ!?えっ!?ええ!?どうしたのこれなにしたのこれ!!!」
「ふっふっふっー!お父さんがチケット抽選に応募してくれてね!見事当選!来月に行けるよ!」
「ひゃぁぁぁぁあああああ!!!お母さん大好き!!お父さん大好き!!!!ひゃぁぁぁぁあああああ!!!」
いや、八木さん見とるやん。何を今さら興奮することがあるのよ。
って思うでしょ?
興奮するわよマッスルフォームが目の前で見れるんだもの。
「これはまだ引換券だから、コンビニで取り替えてもらいなさい。お金はこっち。」
封筒と引換券を貰って、私は元気よく駆ける。
おそらくこのときの私の姿は、その辺の小学生となんら大差ないだろう。
そんなことは気にしてはいけない。
人は童心を忘れたとき、廃れた大人になっていくのだ。
故に、私は童心を捨てぬ。
「ぅひゃぁぁぁぁあああああ!!!待っててねぇ!!オールマイトぉぉぉぉぉぉお!!!」
そうしてピョンピョン跳ねながら走っていれば、
前方不注意でぶつかった相手は、
「わっ」
「わぁー!ごっごめん!!けがない!?……!」
緑のモジャモジャ髪のそばかすくん。
我らが主人公、緑谷出久くんであった。
戻る 進む