にねんかん | ナノ


▼ 付き合ってないんですか

「お主まさか、ルフィの事を好いているのではあるまいな」


「あはは、面白い冗談ですね。」




ルフィ君がいるルスカイナ島に頻繁に出入りし、レイリーさんにボコボコにされる日々を過ごす私。

アマゾン・リリーの一角を下宿先として借りている身である私だが、
皇帝であるボア・ハンコックにお目にかかることは意外と少ない。

皇帝としての責務や、ルフィ君を庇っているという事実を隠すカモフラージュなど、彼女も彼女でやることが多いらしい。


そうしてやっと顔を会わせたと思えば、私がルスカイナ島に出入りしている女だとわかった途端この質問だ。

マリンフォードで彼を護衛している間にももしや…と思っていたけれど、これは確定なのでは……





「もしかして、ハンコックさんルフィ君が好きなんですか?」

「な!!!ななな!なんっ…や…そ、」

「ええ…反応かわいい…」




こんな百戦錬磨みたいな見た目して、しかも私より年上なのにめちゃくちゃ反応乙女……ギャップすごいな。萌えってやつだ。




「そ、そうじゃ!わらわはルフィと将来を誓いあった仲!!お前のようなちんちくりんが間に入れるような隙などない!」

「あ、安心してください。私生涯片想いなので。」




真っ赤な顔で威張り始めたハンコックさんはあの有名な"見下しすぎのポーズ"をして、衝撃の事実を私に教えてくれた。

すごいなルフィ君……
エースなんて親父さんしか見てなくて恋人もいなかったのに………私も人のこと言えないけど。

私が"生涯片想い"と告げると、ハンコックさんはただでさえ大きな目をさらに大きくさせて驚いていた。

びっくりしてても美人ってずるいな。顔面偏差値分けてくれ。




「もう本人にはバレないのでぶっちゃけますと、私エースが好きなんです。」

「ええ!?」

「一回も想いを伝えられずに死んじゃいましたね」

「ええ!?」

「こんなことなら既成事実作っとけば良かったなぁ」

「きっ!?」



薬でも海楼石の手錠でも用意して襲えば良かったかなぁ。

正直死ぬとしたら私が先に死ぬと思ってたから悠長に構えて妹ポジションを守り抜きいつ女として意識してもらうかとタイミングと計画を図っていた。

私の発言にいちいち可愛らしく反応するハンコックさんを見てもう"美人だ"という感想しか抱けない。

というか、"既成事実"という単語だけでこの反応って……まさかルフィ君少しも手を出していないの?
男じゃないぞルフィ君。



「お、お主……エースの事を…」

「はい。2年…も経ってないと思いますが、出会ったときから好きです。」

「しかし…エースは死んだ…お主は………その……辛くないのか…?」




先程まで私がルフィ君を好きなのではと警戒していた態度と打って変わり、
完全に恋ばなモードに移行したハンコックさんだが、

私を気遣いながら話す彼女はだんだんと俯きだし、私の様子を伺うために瞳だけこちらに向けるもんだから、

紅潮した頬+上目遣いというなんとも鼻血ものの美術品のようなご尊顔が出来上がった。


鼻血でそう…





「んー…そりゃ、最初は辛かったです。
本当の親よりも大好きで尊敬していた親父さんも
兄として、男として好きで好きで仕方ないエースも
同時に失いましたから。

それは白ひげ海賊団やその傘下の海賊団のみんなと同じです。

私も、オーズみたいに二人と共に死にたかったとすら思いました。」





赤髪のシャンクスには、お礼を言わなければ。
言うだけじゃ足りない。何か、何かをしたい。

赤髪のシャンクスだけじゃない。

麦わらに入ることを認めてくれたマルコ隊長たち

仲間に入りたいというわがままを、保留だけど聞いてくれたルフィ君

親父さんとエースの意志を継ぐルフィ君を助けてくれた数多くの人々


全員にお礼を言いたい。

死ぬまでに成せなければ、私は二人に顔向けできない。




「親父さんは、ルフィ君に戦友の遺産であるひとつなぎの大秘宝ワンピースを託しました。

エースが溢したたったひとつの後悔は、ルフィ君が海賊王になる姿を見れなかったことでした。

ルフィ君に最後に託したひとつなぎの大秘宝ワンピースを見る。
エースが見れなかった、"海賊王のルフィ"を見る。



今、私を支えてるのはこの二つの意志なんです。




辛かったけれど、前見ないとエースに燃やされちゃう……へへ…」






私の長い話をハンコックさんは真剣な顔で聞いてくれた。

道端の猫蹴っ飛ばすけど、美しいからとわがまま言う人だけど、心根は優しくて、いい人だから、アマゾン・リリーの皆はこの人が好きなんだろうな……

ルフィ君はそんなハンコックさんが好きになったのかな………




いいなぁ!!!両想いいい!!





「主は…強いな」





フッと笑うハンコックさんの破壊力といったら……






「ハンコックさんほどじゃないです」

「あの、なんじゃ………その……」

「?」





ハンコックさんは急にもじもじし始めた。

なんだなんだ、なんかいかがわしいぞ。

私はラッキースケベに遭遇しているのか。

えええ……エースにラッキースケベしたかったぁ……





「と、とも…あの………」






どもるハンコックさんかわええな。

今気がついたが、ハンコックさんの後ろにはハンコックさんの妹二人とニョン婆様がいた。

何やら念を送っているようだが、ハンコックさん何か初めてのおつかいでもしてるんですか。




「あ、そうだ。ハンコックさん友達になりません?」

「ええええ!?」

「「「ええええええええ!!!」」」





なんだなんだ皆して。

だってこの美貌の秘訣知りたいじゃないか。

話してみればめちゃくちゃかわいいし。



ハンコックさんはもじもじしながら"どうしてもというなら、なってやらぬこともない"と言うもんだから、
もうかわいくて仕方ない。




「うん。どうしてもなりたいからなって。ハンコック」

「!……あ、ああ…!えと、ルカ…」




かわいいなぁ…






***









「えっ、ハンコックと付き合ってないんですか!?」

「俺そういうの興味ねぇもん」







将来誓いあったって……まさか妄想?


……………………………まじか

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -