20000打記念企画 | ナノ



すぅすぅと安定した寝息が微かに聞こえてくる。もう昼はとっくの前に過ぎたのだが、ナマエは未だに爆睡している。いつもなら叩き起こして一緒に昼飯を食うのだが今日はそうしなかった。昨日、ナマエが生理が来た、とぼやいていたからだ。体調があまりよくないだろうから、無理やり起こすのも気が進まなかった。自然と起きるまで何もしないでおこうと決めた。軽めに昼飯を食って、いつもならこの時間帯はテレビを見るのだが、ナマエを起こしかねないので雑誌を読んで過ごすことにした。ぱらりとページをめくり、そこに書かれている文字の羅列をぼんやりと眺める。ふと時計に目をやると、13時30分過ぎをさしていた。ナマエに起きる気配はない。本当に、寝てるだけなのであろうか。少しだけ、心配になってきた。どっかの童話みてぇにずっと眠りこけるわけじゃねぇよな。手に持っていた雑誌を適当に置いて、ベッドの中にいるナマエの元へと近寄る。すん、と空気を吸い込めば、ナマエの匂いに混じって微かに血の匂いがした。ぎしりとベッドに腰を掛ける。ベッドが沈んだが、ナマエは相変わらず目を覚まさない。じーっとナマエを観察していると、ぴくりと瞼が動いた。もぞもぞと体を動かして、寝相が変わっていく。まだ寝るのかと思いきや、ナマエは枕元の時計へと手をのばした。それから蛙を潰したような声を上げて飛び起きたので、ベッドがたまらずぎしぎしと呻き声を上げた。ベッドに腰掛けていた俺を見るなり、ナマエはぐすっと鼻を鳴らした。

「フィン、クス、!」
「よお、おはようさん」

言い終わらないうちにナマエが俺に飛びついて来た。ベッドから落ちそうになるが、なんとかナマエを抱きとめる。

「なんで、起こさなかったの…!」

ぐすぐすと鼻を鳴らしたナマエは涙を両目いっぱいに溜め込んで俺の肩をその小さな手で掴み込んだ。

「今日、は、久しぶりに一緒にお出掛けできる日だったのに、!」
「だってお前生理来てるじゃん。その状態で出掛けたって体調悪いし、楽しくねぇだろ」

いつの日だったか、こいつが生理中の時に出掛けて途中で具合が悪くなったことがあったのをナマエも思いだしたのか、ナマエは眉をハの字にして黙り込んだ。そして、お出掛け、と小さく呟いた。おいおい、どんだけ出掛けたかったんだよ。俺の心中を察したのか、

「久々にフィンクスとお出掛け出来るって、すごく楽しみにしてたのに、」

そう言ってしょぼくれてるナマエがたまらなく愛おしく感じて、両手でナマエの体を抱き寄せて、それから額にキスしてやった。

「また違う日に出掛けような」
「、うん!」

わしゃわしゃと頭を撫でてやると、ようやくナマエは笑みを零したのだった。




君の言葉すべて

(愛おしすぎて俺はもう一度彼女を抱きしめた)






どこに行けばフィンクスはいるんですか。いい加減画面の中から出てきてくれてもいいのよむしろ出てこい。

(12/10/01)





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