20000打記念企画 | ナノ



熱い日差しがこれでもかと降り注いでくる。たらり、と汗が首元へと落ちていった。今日に限ってどうしてこんなにも暑いのだろうか。ぎらぎらと光る太陽を睨みつけて小さく溜め息を吐いた。がちゃりと扉が開いた音によりはっと我に帰る。真正面の家から着飾った女性が出てきた。その女性が視界に入った瞬間ぞくぞくと背筋が震えた。やっと出てきてくれた!たったそれだけのことでこの鬱陶しい気温なんてまったく気にならなくなってしまった。むしろこの気温を共に感じているということにうっとりとしてしまうくらいだ。今日はナマエはどこへ行くのだろうか。わくわくとしながらナマエの後ろをそろそろと追いかけていく。50mくらいは離れているが、ナマエの匂いが鼻孔をくすぐる。あぁ、あの華奢な体を思いきり抱きしめて、ナマエの体臭で肺をいっぱいにしたい、!こんな至福は他にないだろう!そんなことを考えているだなんて全く知りえないナマエは行き交う人混みの中を上手い具合に進んでいく。すると、一人の男がナマエに話しかけてきた。ぎりっと噛んだ唇から血が溢れてくるが構わないでよりいっそう力を込めて唇を噛みしめる。そうでもしないとここらにいる人間全てを殺してしまいそうになる。まあ、それはそれで楽しいだろうが。とりあえず、あの男は後で殺しておこう。俺のナマエに気安く話しやがって、!溢れ出てくる殺気を垂れ流して立ちつくす。本当なら今すぐにも殺してやりたいが、ナマエに怖い思いをさせたくないし、ナマエの綺麗な肌が血に染まってしまうのは嫌だ。しかもあんな男の血を被せてしまうのは気に入らない。ナマエの肌が血に染まるときは俺の血でなければ。話しかけてきた男に笑みを浮かべて、ナマエは何かを話しかけている。痩せ我慢なんてしなくていいのに、ナマエは本当に優しい子だ。あの男の言うことなんて無視して逃げてしまえばいいものを。それに対してあの男はなおナマエに話しかけるのを止めない。ナマエの親切心につけ入りやがって、身の程を知れ…!思わず舌打ちが漏れたがあっという間に雑踏に消されていった。しばらく話していたナマエは、男と共に歩き出した。駄目だ、ついて行ったらっ…!あいつはナマエを言いように凌辱して欲望の捌け口にする気なんだ…!そう心で叫んでもナマエに届くことはない。人とぶつかるのも構わず俺はナマエを追いかけた。男の自宅であろう建物の中に入っていくナマエ。ばたんっと扉が閉まり鍵のかかる音が小さく響いた。くそっ、あの野郎殺してやる。人間だったとは思えないくらいに切り刻んでやる。だんだんと扉を叩くと、訝しんだ表情を浮かべてナマエが扉の隙間からひょっこりと顔を覗かせた。

「こんにちわ、ナマエさん」

槍を手に取ってにこりと笑みを浮かべると、ナマエの表情が凍りついた。



***



ぐちゃりと肉が潰れる音がした。足元を見ると、あちこちに肉の破片が転がっている。室内は辺り一面真っ赤で、俺もほとんど真っ赤に染まっていた。たった一人真っ白であるナマエはこの光景に呆然と立ちつくしていた。

「ねぇ、怪我とか、してない?」
「ひぃっ…!!」

小さく悲鳴を上げて、ナマエはぺたりと座りこんでしまった。床に広がった血溜りがナマエの服に吸い込まれていく。

「違うんだ、俺はナマエに危害を加えるつもりはこれっぽっちもないですぴょろよ」
「こ、来ないで下さい、!」

近寄るとぼろぼろと涙を零して、ナマエは俺から離れようと退いた。なんか、威嚇してる猫みたいで可愛い。

「俺、泣いてる子のあやし方とか分からないんだけど、どうすればいいのかなー」
「どうして、こんなこと…!この人殺し…!人殺し!」

ぱちん、と鋭い音が駆け抜けた。じんじんと頬が熱くなってくる。ああ、叩かれたのか。音の割に痛くないんだけど。それより、ナマエが俺に触れてくれるだなんて、夢みたいな話だねぇ。俺今ならこのまま死んでもいいかも。だけど、ナマエがそんなにも慟哭している原因が分からないや。



君のために、とつければ
何でも許されると思ってた



ねえ、お願いだからもう泣き止んでよ、





ヤンデレ美味しいです大好きです。
あと病んでるハスタが好きすぎる。

(12/08/17)





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -