解毒 | ナノ



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※原作読了した方推奨



「…クリスマスに男二人で歩いている事態なかなか見ない光景だな」
「?…何か言ったか?」
「別に。それよりも足下滑りやすくなっているから気をつけろよ?」
「言われなくとも、……っ、ぐ!!」
「へえ、君でも転ぶことあるんだな」
「………」
「あーあ、雪だらけじゃないか。頼むからそのまま僕の家に入らないでくれよ?」
「わかった」
「ふ、貴重なものを見れたな。ほら、」
「手助けなどいらん。自分で立てる」
「そうかい」
「そういう貴様こそただでさえ脚力が落ちているのだから足下に気をつけろ」
「おあいにく様。僕は雪慣れしているからね」
「ほう?」
「ま、昔の話だけど」
「おい、」
「ん?」
「そこは氷が、」
「え?っう、わ…!」
「………」
「そこまで強く掴まなくてもいいじゃないか。転ぶより痛いぞ」
「転ぶよりはいい。危なっかしくて見ていられん」
「……はいはい」
「全く。さっきまでの剛毅な態度はどこへやら」
「……っさいな」
「ほら、」
「………………」
「おい?…っ!?」
「ふ、君は単純でいいね」
「……手を引いて自ら雪に埋もれるなど、子供がすることだぞ」
「たまにはいいだろ。あーあ、さすがに雪まみれだね。コートの中までぐっちょりだ」
「早くどけ。寒い」
「そのまま凍死してしまえ」
「貴様より長生きしたいのでな、それは断る」
「……………」
「…すまん。今のは撤回しよう」
「いいよ、別に。気にしてない」
「………」
「ねえ、雪辱を果たすって言葉知ってるかい?」
「あぁ知っている」
「雪はね、雪ぐとも読むんだ」
「すすぐ?」
「身を祓い、そして清める。雪辱の由来はそこでね、雪に埋もれて僕に押し倒されている君はなかなかに綺麗だよ。名前だけに、ね」
「滑稽だな」
「違いない」
「……」
「………」
「……君より生きてやるよ」
「あぁ」
「士郎といっしょに旅行へ行って、お土産買って、君に自慢する」
「…あぁ」
「春は花見をして、夏は海へ、秋は紅葉を踏んで、冬は雪景色を見る。それでまた桜を見たい」
「そうだな」
「それから、……それで、」
「衛宮」
「…………」
「衛宮、」
「キスしよう。そしたらここから退いてあげる」


解毒


いつか僕は、僕の中の君に殺される。
世界の罪が君には流れているのなら、このまま雪にまみれて死んでしまえばいい
だからキスしよう。




20120427


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