エイプリルフール | ナノ





「実は僕、君のことが本当に本気で大嫌いなんだ。顔も見たくないし見る度吐き気がする。毎朝ベッドでセクハラしてくるあれ、ほんとにやなんだ」
「……」
「だから別れよう」
「…は?」
「毎日毎日飽きもせず追いかけてくるのは勘弁してほしいね。だから縁を切ろうと思う。この際キッパリスッキリ縁を切った方がいいんじゃないかと思ってね」
「ま、待て」
「それにほら、僕はなんだかんだ言って所帯持ちだ。癒しが欲しくなる時だってあるんだぞ」
「…………衛宮」
「さて言峰。今日は何の日か知っているか」
「…いや?誰かの誕生日だったか?」
「……」
「何だ」
「それ本気で言ってるのか」
「神が居る限り私が嘘をつけないことぐらいを知っているだろう」
「へぇ……」
「それよりも、先の言葉全て本気か。本気で貴様はそんなことを考えていたのか?」
「え」
「本当なのかと聞いている」
「今日はエイプリルフールだぞ」
「……………忘れていた」
「……ぷ、」
「私だって忘れることぐらいある。笑うな」
「あぁごめんごめん。ちょっとした悪戯だ」
「悪戯にしては度が過ぎる。心臓が止まるかと思った」
「本当ならもっと非情にもっと汚い言葉で嘘をつきたかったんだけどな」
「………それはつまり、今までの言葉が嘘であったと捉えていいのか?」
「え、」
「毎朝私がやましいことをするのは満更ではないし、縁を切りたくはない、と」
「っ」
「それで、本当に本気で私のことを大嫌いというのも裏返しというわけか――――」
「………お前」
「何だ」
「性格悪すぎるだろう」
「それはどうも」
「褒めてない」
「ありがたい限りだな。さて、エイプリルフールという日であるからこそ、貴様に質問するとしよう」
「は?」
「衛宮、私のことは好きか?嫌いか?」
「……」
「回答は?」
「………………」
「………」
「好き大好きスッゴく好きすぎてたまらないね。今すぐ殺したいぐらい愛してるよ」
「棒読みされてもな」
「お前が言わせたい台詞を言ったんだからむしろ感謝してほしいぐらいだな」
「…真意は?」
「………だいっきらいだよ」
「あぁ。言うと思った」
「言わせたいのはそっちか」
「貴様に好きと言われるよりも嫌いの方が愛を感じるからな」
「ついに脳までマーボー豆腐が回ったか?」
「私も貴様のことが大嫌いだ」
「………話聞けよ」
「嫌いで仕方ない」
「…そんな口説かれ方されてもね」
「好きと言われたいのか?」
「まさか。そんなの御免だね」
「それは、どっちの意味でだ」
「………………両方だよ」


うそつきはどろぼうの始まり

共犯であるが故、


20120406

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