※キャラ捏造強め 「う…っ…も、もうむり…っ!。だめ、だっ」 膝を擦り合わせてうつむきながら壁に手を付いて訴える。 苦しい。いや、苦しいどころじゃない。痛い。なんとなくお腹が痛い気がしてきた。ていうかなんで俺がこんな思いしなきゃならないんだ。よりによって何でこの俺が―――! 「銀と、き…っ!」 掠れた声が壁に伝って辺りに響く。こんなに我慢している俺ってなに。切羽詰まった声出して我慢ができないと懇願し続ける辺り、武士失格なのかもしれない。でもうったえることは止めない。黙っているなんて、むり。ほんと、限界突破。 「厠開けろおおおおおおお!」 ドンドンガンガン壁というより扉を拳で叩いて、(いろんな意味)で救出を求めた。中のやつは一向に口をつぐんだまま出てこない。 まさか本当は中には誰もいなくて、外から鍵をかけてわざと入れないようにしたのか? いや、でも銀時ならあり得ないわけない。あいつなら俺をおもしろがってやる確率はわりと高い。 ふざけるな。あんなヤツに馬鹿にされてたまるか。なんとしてもこじ開けて… 「さっきからぎゃーぴーぎゃーぴーうっせぇなあ。あれほどお前、オムツ取り替えろって言ったろ」 「ちょっ!黙れお前ええ!いつの話だ!ていうか早く開けろおおおお!」 いないと思って強行突破しようと鍵穴をガチャガチャいじくり始めれば、あろうことか銀時は大声で何年か前の話題をふってきやがった。 ああ、もう終わりだ。松陽先生に聞かれた気がする。だって他の塾生に取り囲まれながらも近くにいたからきっと聞いてる。 最悪。最悪最悪。 銀時、許さねぇ…!! 「あ………あーあ。お前のせいで出るもん出なくなっちまったじゃねぇか」 「え…」 「あと十分、延長戦な」 「ふざけんな出ろおおおお!!」 ドアノブを壊す勢いでガチャンガチャン押したり引いたりしながら、どうにかこの必死さを銀時に伝えるが無駄だ。 万が一。万が一の話だ。ここで限界突破したとする。 ……まず考えたくない。 こんな神聖すぎる場所で漏らすわけなんかいかない。厠のために授業を抜け出して走って家まで二十分。いや、そっちのほうが確実性は高いけれど先生の授業を抜け出すのはどうしても気が引ける。その選択は嫌だ。 かといって村塾からいちばん近い家の奴に頼んで「厠貸して下さい」なんて言えるか…!言えるわけないだろ……!! だから戦うべきは銀時しかいないのだが、それにしても相手が悪すぎる。もっとこう、桂とか桂とか桂が相手ならきっとこちらの気持ちを酌んでくれそうなのに。 よりによって銀時だ。 先生と毎日御飯を食べ、いっしょに寝て、日常を共にしているだいっきらいな銀時なのだ。 憎いというか、なんというか… 「………………」 「あれ?もういなくなっちゃった?それともまさか漏らしたか?早漏か?」 「死ね。どっちもちげぇよ。というか最後は意味がちげぇ」 そう、違う。 違うんだ。 別に俺はこいつみたくなりたいと思っていない。ただ先生の側近にいたいだけだ。将来出世して、先生の教えを後世に伝えて、先生を守る。 だから、銀時を羨ましいなんて欠片すらも思わない。すでに側近にいる扉越しの奴を、羨ましい、だなんて……。 「晋助。そんなところに立ってどうしたんですか」 「あ……っ先生」 振り返れば白の人が立っていて、理由もなくかあーって頬に血が溜まってゆく。いや、どっちかというとさあーっだ。銀時が出てこないせいで漏らしそうです、なんて言えるわけない。はは。言えたら次の日、村塾来れねぇ。 「あの…えっと…っ」 「?」 「えっと…」 うろうろ視線を畳にさ迷わせていれば、松陽先生はしゃがんでこちらの目の高さまで視線を合わせて俺の手を握ってくる。 ――――あったかい 「どうしたのですか?」 このままでいたい。手を握られたまま、ずっとこうしていられたらいいのに。 「松陽先生ー!高杉クンがオムツに漏らしちゃったみたいでーす!だから厠の前にいたんでーす!」 「えっ」 「えっいやっ、ちがっ!ちょっ…!銀時黙れえええ!!」 俺のすべてはただあの人のために 「銀時。いいかげんにしなさい」 「はぁい」 羨ましい、なんて少しでも思った俺が馬鹿だった… >>20110129twitterのbotからネタ拝借 とりあえず、高杉ごめん |