心臓は何色? | ナノ



※血注意









…赤
赤、赤赤赤、赤、赤


―――

一面に広がる紅の液体。その上に乗せる芸術品を眺めれば、ただ、快感。絶頂を迎えた時のような、全身に粟を散らばせたような、表現し難い、とてつもない快楽。
龍之介は椅子に座り足組みをしたその太ももの上に肘をつき、子どもたちの死体を見つめた。唇に弧を描き、満足げに笑う。なんて美しいことか、と思い馳せながら。

地下に作ったある種の美術館。そこに横たわる子どもの肌を足指でゆっくりとなぞる。

足の甲。
脛骨。
膝。
大腿部。
腹部。
そして、

「リュウノスケの心臓は何色ですか?」
気配を感じさせない死神は上から覆い被さるようにぬっと現れた。足の動きを中断して上を見上げる。
「旦那ー?いま何て?聞こえなかった」
引き裂くように高く濁った旦那の声は俺の鼓膜をうまく叩かなかった。旦那が手で俺の頬を包むと長い爪が肌に食い込む。旦那の顔、近い。ぺたぺたと頬を確かめるように触れる手は温度がなく冷たかった。
「何でもないです。それよりもリュウノスケ。先程また新しく調達をしましたがどうします?」
「あっいっけね。すっかり忘れてたー」
踵で四肢を踏み潰す。ぐしゃ、と独特の肉が引き裂き千切れる音色。次の作品に手を出せる喜びと、今の作品が無くなった虚無感という名の快感に体をそわそわと揺らす。好きなことに捕らわれると目の前しか見えなくなる癖。それでいて、気づかなかった。

「リューノスケ」

「っ」
次の凶器は何にしようかと鈍器刃物縄など、あらゆる物を探していると旦那がまた、唇、を。あの独特の衣服の中に食い込むほど抱き寄せられて、呼吸を塞がれる。
「ん、んん」
旦那のちゅーはとびきり甘い。唇から伝わるのは血の味。血の匂い。血の感触。きっと旦那は俺がこの味を好きなことをわかっててやってるんだろうなあと長いまつ毛を伏せて笑む。
赤い舌を出して、唇を舐めて、血を飲み込む。

ぷ、は。

吐息すら乱させない。それほど旦那はちゅーが上手。にこにこ笑う俺に、長い爪の手が頬を包む。何?と問う前に青髭の旦那はにこっと笑う。文字通り、にこっと。

「誕生日おめでとうございます。リュウノスケ」




心臓は何色ですか?

「リュウノスケの心臓は何色ですか?」



20120203

遅くなりました!龍之介、ハピバ!




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