明後日久々にゆっくり会おうか、そんな約束を取り付けたのは合格発表前だった。そのときはこんなことになるなんて思わなかったし、本人のわたしがわからなかったんだから、大学進学を早々に決めた彼は勿論、かけらも思っていなかっただろう。発表があって2日、48時間と少し。笑えないくらい長い2日間。明後日が近付くのを感じては息が出来なくなっていくのは、まるで低酸素地域にだんだん迷い込んでいるようで、立ってはいられるけれど動くにはつらい、そんな感覚。どうしようもなくて、2日前になってやっとのことで電話をかけた。

「わたし平子に会えない」
『は?何言うとんのや』
「平子に会ってもまともに目、見れないと思う」
『なんやそれ』
「まだ受け入れられないの」
『…何をや』
「自分が、浪人生ってこと」

平子にはわかんないよ。そんな言葉は理性がなんとか飲み込んでくれたけれど、それでも八つ当たりめいた気持ちがぐるぐると渦巻く。誰にも言えないわたしの汚いところ。わたし以外誰も悪くはないのだ。誰も。だけどひとりで抱えるには少し重たすぎて、潰されそうになっている。筋違いも甚だしい。携帯を耳から離し、割れた彼の声を聞きながら、重ねる。平子ごめん。まだ何かを言っていたけど構わずに電話を切った。溢れそうになった涙をなんとかこらえて携帯をじっと見る。もう一度かかってくるかなと期待混じりに思ったけれどかかってはこなかった。そりゃあそうだ。八つ当たりされて、いきなり電話を切られて、泣きたいのは平子だ。わたしじゃない。だから、泣いちゃいけないんだ。



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