インターホンが鳴ったので玄関へ。裸足でパンプスを軽くはいてそれから、ドアを開ければ、そこには。
「ま、まさおみくん」
「あは、来ちゃったー」
そろそろお風呂出たころだろうなーと思って、薄いキャミソールにホットパンツ、それから湿った髪の君に会いたくてさ!もう2時間もそこの植え込みに隠れて見計らってたんだぜー、だとかつらつらと体の向きを変え、身振りを大きくしながらわたしにしゃべった正臣くん。なんで隠すんだろう、わたしには、わかるよ。
「生憎濡れた髪しか」
「どうしたの」
「や、だからエロかわいい姿を」
「走ってきたくせに」
一瞬顔をゆがめて、ゆっくり両腕を上げた彼は、ぎゅうとわたしを抱きすくめた。バタンとドアが閉まる。わたしも背中に手を回して力を入れると、彼の力はさらに強くなった。夏の所為もあって少し汗のにおいがするし、からだをくっつけていると暑い。お風呂入ったとこなのに、とか一瞬考えたけどやめた。正臣くんがしゃべったからだ。
「ちょっとさ」
「うん」
「怖くなっちまって」
こんな、髪濡れてエロいとこ見せられたからほんとは襲っちゃいたいとこなんだけどー…!と茶化して笑った正臣くんのあたまを撫でる。いいよ、大丈夫だよ、ずっとこうしてよう?
「あー、よかった」
「うん」
「ここにいたわー」
「うん」
「ここにいるよ」
まさおみくんも、わたしも。
20101121