07-04 07:59
こないだのみむさんのRTがツボ過ぎたので勢いに任せてガチで平子で文章化してみたいと思う@悪ふざけ



▼ 関西弁言えるかな

「私もせやなって言ってみたい」
「どないしたんや急に」

彼といろんな距離が短くなったあの頃からそれなりにずっと考えていたこと。薄暗くなった帰り道、おもしろいくらいに伸びた影も現実と変わらず左の方が大きかった。周りにはあまりいないイントネーションが斜め上から振ってくる。いつも通り、背中がくすぐったい。

「だって関西弁カッコイイじゃん」

関西弁そのものがカッコイイから好きなのか、彼がそれを使うから関西弁がカッコイイのか、好きなのかはこの際もうわからないけれど。ぐるぐるぐる。

「よっしゃ、ほな俺が正しいせやなの使い方を教えたろ」
「わーいありがとう平子」

見えない顔がうれしそうに笑っている気がした。関西弁を一言話せるようになりそうというだけで内側が一歩彼に近づいた気分になって、思い切って外側も一歩近づいてみる。少し、左へ。長さのちがう伸びた影には相変わらず距離があったけれど、その距離はさっきよりもちぢんだ。私の視界に映る彼も大きくなった。並んで歩いて見える最大限。

「俺がいまから何か言うから、せやなで返してみィ」
「うん、がんばるよ」

じゃあ、とわざとらしく上を向いて、それから。

「お前、俺のこと好きやろ?」

同時に私の左手に自然に右手を沿わせてくる。ぱちんとまぶたを弾いた頃には、近づいただけでたしかに離れていたはずの影が繋がっていた。あれ、えっと。左手を中心に発火点ぎりぎりの体温がぴりぴりと右手の指先までかけぬける。なんだっけ、なんだっけなんだっけ、何か言わなきゃいけないはずだった。

「……せ、せやな?」

口にした瞬間に耐えていたはずのからだからボッと熱が表に出る。なんだ、これ。正しい使い方なのかもしれないけど。けど。

「ヘタクソ」

くすくす笑う平子はいつも通りきれいな髪をいつもよりキラキラさせながら私を見ないでそう言った。また体温が上がる。そんな恥ずかしい私を確かめるように彼の右手に込められる力が強くなったので、ありったけの力を左手に込めてみる。フッとどちらかが吹き出して、二人分の声で笑うひとつの影。前を歩く子どもが振り返ったってもう構うもんか。




ふ、ふざけすぎました(笑)
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