「同心-陽と陰-」沖沖(幕末)前編
2013/09/29 16:45

―池田屋の事件があってから少し後の事。

ケホケホと軽く咳が出る。

せっかく寝付いた所だったが、唐突に出た咳に眠りから覚醒してしまった。

……少し身体が熱い。
額に手を宛ててみると、どことなく軽い微熱が出ている様な気がする。
横になって改めて寝直そうと障子の方に寝返りを打ち目を瞑る。

………暫くした頃。
やっと眠りの方に移りゆこうとしていた時だった。
沖田は何らかの気配を感じ取る。
そしてその気配は板張りの縁側を通り過ぎる事なく、自分の元へと静かに近づいて来るのが分かった。

(何…………?)
目を瞑りながらそっと刀の方に手を伸ばす、が……伸ばそうとした手を遮られ、縫い付けられる。

「………!?」

―まだ気配は外だったのにもかかわらず、いつの間に室内に入った?
障子の開閉する音さえも聞こえなかったというのに。

沖田は驚き誰だと目を開け、そして目を見開く。
そこにいたのは着物とは違う物を身に纏い、白髪で短めな髪に紅い眼の男。

(え…………なに、僕…?)

頭が混乱する。

そしてその白髪の男が口を三日月の様に口を歪めてゆっくりと言葉を放つ。

「…やあ。初めまして自分………と、言えばいいかな?」

―瓜二つなもう一人の自分の視線に絡め取られて、僕は……動けなかった。

***

小説置き場のよりもうちょい短めなお話ページです。
いろんな沖受けカプの短めなお話を思い付いた時に投下していくので、お暇がある時に覗いて頂けたら嬉しいです^-^

小説雑多雑文置き場ともいう……(笑)


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