猫とねずみとお友だち

02


 ふたりは、ラードを教会の神壇の下──隠された地下室に置くことに決めました。
 教会からものを盗む不届き者はほとんどいませんし、なによりもそこには『神父』と彼らが呼ぶ風変わりな青年がいて、ラードの管理をしてくれることが判っていましたので。
 目覚めたときに暴れないよう、『神父』が到着するまではと、猫と鼠は細くて丈夫な革の紐でラードの手足を縛って、地下室を後にしました。


 そして冬──と、なれば良かったのですが、そうは行きません。

 隠したばかりだというのに、猫はラードのことが気になって気になって仕方がないのです。
 だから猫は、嘘をつきました。

「なあネズミちゃん。俺ちょっと教会行ってくるわ」
「『ちゃん』はやめろ。…なんで」
「いや、叔母ちゃんに子供が生まれてさ。洗礼を受けさせなきゃなんねーの」
「…珍しいな、お前が親類の話するの」

 きょとんと赤い瞳を真ん丸にする彼の方が珍しいと猫は言いたくなりましたが、それを言うと怒られるのが判っていたので、そのまま笑って出かけました。


 教会の地下室についた猫が見たのは、素っ裸に服を脱がされて革の紐で手首と足首を縛られたラードの姿でした。おちんちんも革の紐でぐるぐるに巻かれています。きっと『神父』のしわざでしょう。

 同じ革の紐でお口の動きも制限されているラードは猫を見つけて、涙に濡れた蒼い瞳に嬉しそうな、困惑したような色を宿しました。
 猫は動けないラードに近付くと、その白金の髪をそっと梳き、革を咥えさせられたままの彼の唇に、ちゅ、と音を立ててキスしました。

「っん…!」
「はは。喋れないの、いいなぁ。ちょっとこっそり、食べさせてな」
「んぅう…っ」

 ちゅ、ちゅ、とキスを落としながら、猫はラードの滑らかな肌に舌を這わせます。

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