ヘンゼルとグレーテル

09


 魔女はきょとんと目を丸くしたあと、微笑んでふたりを家の中へ招き入れました。

「いらっしゃい。君達は兄妹? ここに来た子供でいきなり私の家を食べなかったのは君達が初めてだよ。いい子だね」

 そう言いながら、魔女はたくさんのご馳走をふるまってくれました。
 もう限界までおなかの空いていたふたりは、喜んでそれを食べ、おなかがいっぱいになると眠ってしまいました。

 魔女は少し悩んでから、ヘンゼルを大きな鳥籠に閉じ込めました。




 さあ、朝になって目が覚めたふたりは大騒ぎです。

「大変、ヘンゼル! 監禁プレイだよ!」
「どうしよう、グレーテル! 僕は『下』になるつもりはないのに!」

 ふたりの元へやってきた魔女は、ふたりの言葉に首を傾げながら、グレーテルに命じます。

「さあ、君はお兄さんに食べさせるご馳走を作っておくれ。肥らせてから食べるから」
「ヘンゼル、聞いた?!」
「うん、綺麗な顔してデブ専だなんて!」
「で、でぶせん…?」

 ふたりの言葉が理解出来ず、魔女は目を白黒させます。「と、とにかくご馳走を作るんだよ」とグレーテルに言い渡すと、グレーテルは魔女のローブの裾を握りました。

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