Stand by...

05


 恥辱に目を潤ませたクロウが愛らしく思えて、ワイズは昂ぶる衝動のままにクロウの首筋に噛みつく。

「──っ!」

 牙を抜いて、相変わらず甘い血を吸う。

「ふぁっ、ぁっあ、あ、あ…ッ」

 クロウの躯が再び痙攣する。その蕩け始めた眼に、ワイズは満たされる気がした。

 夢中で血を貪りながら、クロウの胸に手を這わせる。
 そこには既にぷくりと胸の飾りが存在を主張していて、ワイズは長い指でそれをこね回し押し潰し引っ張った。

「ぁうッ、っひん…っひゃあぁん! あっあっ、すごっ…!」
「!」

 びくびくと躯中で反応しながらうわごとのように呟いた、クロウの一言。
 それが信じられなくて、思わずワイズは動きを止めた。すると、

「ッや…っ、あ、も、もっと…もっと触って…っ」
「?!」

 クロウは例えもし思ったとしても、こんなことを口に出すような性格ではなかったはずだ。

 顔を覗き込むと、蕩けて上気した表情の中で、眼だけが強い光を帯びてワイズを睨んでいた。
 それを見て、気付く。



 『耐えるな』。



 その命令が、まだ彼を支配しているのだ。

 ぎちぎちと手首を縛めたタイが鳴く。必死で足掻こうとするクロウに、ワイズは優しくキスをした──クロウは顔をしかめたが。

「いい言葉を知ったな。『耐えるな』、クロウ。ずっとだ」
「ックソ野郎…っ! っぁ、あついぃ…っ」


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