Are you NOAH?

02



「ッ?」

 確かに感じた手応え。
 それに驚くと同時に、液体は凄まじい速度で枝を這い登り、季の腕に絡みつく。

「ゃ…ッ! ンだよこれッ?!」

 慌てて剥がそうとするが、びちゃびちゃと指の間を抜けるだけで掴めない。なのに、張り付くような質感は確かにあるのだ。

「気持ち悪ッ…! クソっ、取れねぇっ!」

 クン、と何かに引っ掛かる感触があったかと思うと、右手を解放しようとしていた左手が、そのままの形で固定されてしまった。

「えっ?!」

 水のような柔らかさはどこにもなく、がっちりと液体は固まっている。

「う、そ、だろ…ッ」

 さあぁ、と血の気が引く。こんな道、誰も通りやしない。


――逃げ…ッ!


 そう思ったが、腕に気を取られて靴が完全に液体に絡め取られていることに気付かず、

「ひゃっ?!」

 勢いよく立ち上がった途端にバランスを崩し、ばちゃんと液体の真ん中に尻餅をついてしまった。
 手が使えないので転倒は恐かったが、液体のお陰なのか、さほど痛くはない。

 ただ、


「うぅうッ!」
 じゅる、じゅるっ


 軽く外側に股を開いたままの脚に液体が這い上がり、ハーフパンツの裾から、Tシャツの裾から、どんどん素肌に迫ってくる。

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