ドミネイトユー

03


 赤い魔王の目が勇者を睨み、それでも勇者はそんな魔王が己の肉棒をしゃぶりたがっているのだと優越感に浸った。

「じゃあ魔王サマ、次に行こうか」
「っは、…ぁむ…、ん…んむ…」

 ちゅぶちゅぶとくぐもった音を立て眉を寄せながら再び勇者の男性器をしゃぶる魔王の鎖骨を探り、撫でる。



「『魔王グリムハウト。あんたは勇者アズからの乳首への行為を全て受け容れたくなる』」



 再び紋章が輝いて部屋を満たし、勇者はぢゅぽと魔王の口から男性器を引き抜き身を起こさせた。鎖骨の中心にはくっきりと刻印が刻まれていた。

 勇者は満足気に笑い、魔王は不快げにまたベッ、と口内の粘液を吐き棄て、軽く咳き込む。

「なにを馬鹿げた──」

 口元を拭って罵倒し掛けた魔王の瞳がまた揺れた。

 ドクン。

 その隙にひょいと魔王を抱きかかえ玉座に据えて、勇者はその胸元をさわさわと撫で回した。

「…なにが楽しい、貴様」

 聖なる紋章の精神支配がしっかりと聞いているのだろう。魔王は抵抗はしないが、特に快感は得ていない様子だ。
 それがイイ。

 魔王の胸元の衣服を掴み、魔王は思い切り左右に引き裂いた。「なっ!?」鍛え抜かれた褐色の胸筋に、慎ましい乳首が覗く。

「魔王サマの乳首虐めたくてさ」
「ぅ、む──…、そ、うか」

 くにくにと左右の乳首を弄るが、柔らかいままで少しも魔王の表情は変わらない。強いて言うなら歪みが強くなったほどだ。

 『行為を受け容れたいと感じる』が、躯を好き勝手される嫌悪感が消えるわけではない。

「…っ、」
「はぁ…誰にも開発されてない処女乳首…。俺が敏感ザコ乳首にしてやるからな…」

 勃起しない魔王の乳首を満足気に捏ね回しながら勇者は呟き、魔王はその意味不明の言葉にまた眉間に皺を刻んだ。

 勇者は小瓶を取り出した。中には透明な粘液が入っている。

「これ、なにか分かるか?」
「知るか」
「淫魔の唾液だよ。分けてもらったんだ」

 聖なる紋章で採取したわけだが。

「知ってるよな。つよ〜い催淫効果がある事。これを乳首に塗りたくってやるからな、グリム」
「馴れ馴れしく呼ぶな…!」

 人間如きに愛称で呼ばれるなど認められない。目の前の勇者に憎しみしか湧かないのに、乳首への狼藉だけは許してやりたい思いに魔王は困惑する。

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