不協和音2

08


 もじ、と脚を動かせば、シーツはどこもしっとり冷たい。俺の体液が散って冷えたのだろう。じわぁ、と涙で視界が潤んだ。

 躯は熱くて、息は未だ整わない。



 …俺は、弟から逃げられない。



「…ッたく、や…と、…は…っ、はぁっ…せ、……ッせ、くす、したい…」

「セックスしたいの? 俺と?」

「は…っ、はあ…っ、う、うん…」

「男同士だし家族だよ? それでもセックスしたい?」

「ッ、う、…っうん…っ」


 ぴたりと動かない玩具の舌が鈴口に添えられて、躯が更に強張った。ぬらぬらと濡れて光るそれ。

 俺は頷くしかなかった。

 卓也はちゅっと軽くキスをする。


「男同士のセックスだよ。兄さんは俺にどうして欲しいの?」


 卓也の指が俺のア○ルに触れたから、躯が跳ねた。そこはヒクヒクヒクヒクずうっと動き続けていて、止められない。


「ッ、ゥ…、…っ、ッ…ッ…ッ…、ッた、たくやのちんこ…っ俺のア○ルに挿れて、くれ…」


 じりじりと肌が焦げるみたいな羞恥心が思考を溶かす。


「ふふ。いい子だね…弟のちんこをココに欲しいんだ…。じゃあ、昔みたいに自分の事『にいちゃん』って言ってよ」

「っ? ゃ、…っ」


 言い掛けた拒絶の言葉を、ギリギリで呑み込む。

 もはや、分からない。

 玩具でちんこを虐められ続けるのと、弟のちんこに犯されるのと、どちらを忌避すべきなのか。

 俺の迷いを簡単に読んだのだろう。卓也が妙にギラギラした雄の目で俺の唇をまた吸った。



「俺の言う事聞かないと佐藤さんを犯すよ」



「ッ!」

「大人しく従うしかないんだよ、兄さん。…さあ言って。誰が、誰に、どうして欲しいんだっけ?」

「ッう、く…っ」


 恐い。

 卓也の事も、…未だに疼き続ける自分の躯も。




「…っ、…卓也のちんこ…っ、に、…っ、にいちゃんのア○ルに挿れて…っ」




「挿れるだけ?」

「ッ、ぅ…な、ナカ…擦って…」

「ふふ、かわいい…。そんな事したら俺、兄さんのナカに精液ナカ出ししちゃうと思うけど、いいよね?」

「ぅ、う…っ」


 絶対嫌だ。

 良い訳がない。


 だが、俺は…頷くしか出来ない。

「ダメ。ちゃんと声に出して。なにを許可するの?」

 そして卓也は、容赦しない。



「…ッ! ん、ゥ…、お、俺…、に、にいちゃんのナカに…、せ、…せぇえき…っ、だ、出して、いいよ…」



 良い訳がないのに!

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