青木と後藤 小話集

オマケ



 しにたい。

 後藤の家に準備されていた安物のコスプレ衣装は女の子用で。

 オレンジと黒を基調にして蜘蛛の巣柄のぺらっぺらの化繊のワンピースミニスカートに黒い蝙蝠羽とフェルトの尻尾がついている。…が、背中のチャックが閉まるはずもないので、羽は肩甲骨の辺りにだらんとぶら下がっている。
 小さな悪魔の角のついたカチューシャを、三十路を前にしてつける日が来るとは思わなかった。

 スカートからぱんつ見えるなんてはしたないよ、と後藤に下着も奪い取られたので、俺は必死にそのスカートを引っ張っている状態だ。
 リビングのソファに座った後藤の腿を跨ぐように膝立ちさせられているそんな俺の腰を抱いて後藤は心底嬉しそうに笑っている。こいつ、ほんとに目が腐ってる。

「はい先生! 悪戯して、俺に!」

 子供みたいに目をきらきらさせてもちっとも可愛くない。


「言葉責めして先生、ね、ほら」


 後藤の股間に手を導かれて、その感触に思わず俺はぎょっと躯を強張らせた。そこはもう完勃ちだろうってぐらい硬くなって、パンツの中できつきつになっていたから。

「…お前、ほんと一度眼科に行った方がいいぞ…」
「ほんとだよねぇ。俺もさ、着せて『あはは、似合わないね先生。でも折角だからえっちしよ』って展開になると思ってたんだよ。…でも、スカートからアソコ見えないように必死に引っ張って顔真っ赤にしてる先生が、今から俺のちんこのこと辱める言葉言ってくれるんでしょ…? 想像以上に、クる…」

 早く早くと後藤はさっさとパンツを脱ぐ。下着を限界まで引き伸ばしている勃起した性器を、促されて床への膝立ちへ場所を変えた俺は下着の隙間から取り出した。

 ギンギンで太くて長くて、筋立って亀頭を赤くしている使い込まれた男性器。

(こ、言葉責めって、言われても…)

 辱める言葉? 俺は後藤にどんなこと言われて恥ずかしくなったっけ?
 考えるだけで脳が茹だるけど、とにかく恥ずかしい状態になってる『事実』を言われた、ような。

 そっと握る。どくどく脈打ってる。かぁああ、と俺の顔こそ赤面した。


「こっ…、こんなに硬く、赤く、して…っき、…期待してるの、か?」


 ほとんど口の中でもごもご言うだけの俺の言葉に、けれど後藤の立派な性器はびくびくと動いた。嘘だろ。感じてる? 俺の拙い言葉責めで?


「うん…してる…すごいしてる…」
「どうしようもない奴だな…こ、こんな、ぴ、ぴくぴくさせて…何に期待したら、こんな硬くできるんだ…」
「その悪魔っ娘姿の先生が、恥ずかしがりながら俺のちんこに悪戯してくれると思ったら…もうイきそう…」
「へッ、変態…」


 思わず素直な感想が漏れたが、後藤は嬉しそうなままぐいと性器を俺の口許に押し付けた。

「んっ…!」
「先生、ちろちろ先っぽ舐めて…っ、俺の顔見ながら、ちろちろ舐めて…」

 既に膨らみ切って充血している性器の鈴口にはじわりと先走りが滲み出している。俺は嫌々ながらも、もちろん断ることなど許されない、言う通りにする。


 ちろっ…ちろっ…

「ぁ…っ先生…ヤバ…かわいい…」

「…ド変態…。こんなおっさんの女装に昂奮しやがって…」


 これも言葉責めではなく心からドン引いた感想だったが、後藤ははぁはぁと息を荒くして更に性器を硬くした。

「先生、俺のちんこ、なんか罵って?」
「の、罵る…?」

 こいつ本性はマゾだったんだろうか、と思いながら考える。考える…が、当然言葉責め用のボキャブラリーが俺の中にあるわけもなく、俺はぎゅう、と硬い性器を握り亀頭をちろちろと舐めながら、後藤を見上げた。


「こ、…この、…っ、ぇ、と…、そ、…底無し性欲ちんこ…っ?」
「っ!」


 途端に後藤はがばっと動き、リビングのラグの上に俺を押し倒した。その眼は完全に肉欲に染まっている。


「あぁダメ…先生が俺のちんこ硬いとか思ってんのもぴくぴくしてんなって感じてくれてんのも堪んないし、今から底無し性欲ちんこに犯されるの期待してる先生エロ過ぎッ…!」
「ばッ!? き、期待なんかっあっあっ!」
「ほらもうスカートの裏濡らしちゃって…安物のコスプレは濡れたらすぐ浸透してバレるんだよ? 先生…悪魔っ娘姿でいっぱい犯して、その服えっちなお汁の染みだらけにしてあげるね…」
「そっゃッ…!」
「安心して、底無し性欲ちんこで満足するまでずーっとえっちしてあげるからね、先生」


 激しいピストンに俺は愛液が飛び散らないようにスカートで性器を押さえるよう指示された上で、『悪戯』なんてかわいい言葉では済まないほど たっぷり犯された。


end.

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