青木と後藤 小話集 ある日のピロートーク ふと夢で見た青木と後藤。 前後をちゃんと書く予定は今のところないのでここに放置。 「俺ね、持病があるんだよ」 不意に思いついて、事後でぐったりしている先生にそんなことを告げてみる。 先生はうつぶせになって枕に顔を埋めたまま、起きようとしない。くぐもった声だけが返る。 「……なんの」 嘘だって、絶対思ってるだろうに。 ちゃんと聞いてくれる、優しい先生が好き。 さっきまで散々喘がせて、啼かせて、泣かせた相手なのに。 優しい優しい先生。だからいつも、不安になる。こんな優しい先生が、俺だけを見てくれるはずがないから。 「ココの」 心臓の上を親指で示すと、枕に顎だけ埋めたまま、先生はちらりと上目遣いに一瞥を寄越す。可愛い。 しかもその目が快楽の余韻にうるうると潤んだままで、攻撃力は天井知らず。ああもう、駄目だってそれ、反則。またヤりたくなっちゃう。 先生はそんなつもり、一切ないんだろうけど。 「…馬鹿言え。心臓の病気なら、さすがに教師は把握してる」 こんなときでも教師面しちゃう先生、可愛い。 そうだよな、そもそも心臓の疾患に禁止されるべき『激しい運動』、ついさっきまで俺達、がっつんがっつんヤってたわけだし。 でもね先生。 俺はひと言も、『心臓』なんて言ってないよ。 「先生、愛してる」 「誤魔化すな」 「そんなことしてないよ」 ちゅ、と唇にキスを落として、抱き締める。ああ、なんか今、すごく恋人みたいじゃない? 俺達。 「っ、やめろ、って。後藤!」 する、と腰に手を回した途端に抵抗する先生。ムード台無し。 ヤだなぁ、こういうの。もっと躾けた方がいいのかな。 「先生」 「っ、」 低い声で呼ぶと、びくっ、と先生の肩が震える。怯えた眼が俺を見る。 だから俺は笑う。 「俺の病気は、こころの病気だよ」 ──あなたに狂って仕方ないんだ。 「分かるでしょ? だから…大人しくしててね?」 「ゃ…、も、もう、マジで、無理、無理だって、ごと…」 「愛してるよ、先生。先生は?」 「…う…」 また泣きそうになる先生。 泣かせたくなる。 「じゃあ、愛してるって言えるまでシようかな」 「や、…ご、ごと、待て、だめだ、そんな、ほんともう、今日は、」 「愛してる?」 「ッ、ぁ、あ…あいしてる、から」 消え入りそうな声で呟く。嘘ばっかり。分かってるけど、無理矢理だけど、でも先生の口からその言葉が出ると、嬉しいよ。 俺がにっこり笑ってみせると、先生は少しだけほっとしたような顔をした。 可愛いなぁ。 ほんと、啼かせたくなる。 「愛してるなら、受け入れられるよね」 end. [*前] | [次#] 『学校関連』目次へ / 品書へ |