僕の彼氏は××××

04



「上総とも、キスしたいの?」
「そんっ! ち、違います!」

 会長の言う意味がようやく判って、僕は大慌てで否定した。さっきのシーンを会長は勘違いしてしまったみたいだ。
 見上げた先で会長がまだ不安気な顔をしていたから、僕はますます慌ててしまう。

「ぼ、僕には、会長だけですっ…!」
「でも、上総にもキスさせそうだった」
「っ、あれは、びっくりして、動けなくてッ…、で、でも、ほんとに、」
「ほんとに? 小牧は俺のものだって、思っても、いい?」

 僕が、会長のもの。

 その言葉の響きに、なんだかくらくらしてしまう。
 けれど、会長がそれを望むのならば。

「は、はい…っ。ぼ、僕は、会長のものです…!」

 真っ赤になりながらも言い切った僕を見て、会長が微笑む。良かった、笑ってくれた。そう安心したのも、束の間。

「じゃあ、俺の言うこと、聞けるね?」
「あ、は、はいっ」
「俺のものでありながら、誰かにキス許しそうになったお仕置き、受けれるね?」
「えっ…?」

 驚いた僕に向けられるのは、いつもと変わらない先輩の笑顔。その中で、唯一の違いに僕はようやく気付いた。

 会長の眼は、少しも笑っていなかった。


「はい、でしょう? 小牧」



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