僕の彼氏は××××

01



「小牧」
「は、はいっ」

 僕が彼の傍に駆け寄ると、彼は穏やかに微笑んだ。
 彼――水城智生先輩は、この学校の生徒会長。

 そして、僕の…彼氏。

 同じ生徒会で、会長から告白してくれて、そのとき僕は男のひとと付き合うなんて考えたこともなかったからびっくりしたけど、嫌な気持ちはなかったから、OKした。
 それから優しくキスしてくれて、驚いたけど、全然嫌じゃなくて、むしろ気持ちよくて、そのままお付き合いを続けている。

「ちょっと教員室に行ってくる。すぐ帰ってくるから、誰か来たら待っててもらって」
「はいっ」

 会長の大きな手が、僕の頬にそっと触れる。

「これが終ったら、帰ろうね」
「は、はいっ」

 優しい会長が大好き。
 僕みたいな男を、どうして会長が好きになってくれたのか全く判らないけど、どうやら会長も、僕のことが…その、大好き、みたい。

 会長が出て行ってひとりになった生徒会室で、僕はにやける顔をファイルで隠す。

 しばらくすると、ドアが開いた。
 会長かと思って顔を跳ね上げた僕の視界に入ったのは、柳本上総先輩。生徒会の書記で、格好良くって勉強もスポーツもできる、天才だ。水城先輩と仲が良くて、最近は1年生の入瀬くんと、…恋仲、らしい。

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