嘘はいけません

04


 その一瞬の間隙に、抱き寄せられる。腰からスラックス――下着の中にまで、簡単に岡部の手が侵入する。
 後藤に外すのも付けるのも時間の無駄だとかで、ベルト装着を許されていないのだ。

「や、やめろ岡ッ…」

 迷いなくア○ルをまさぐる岡部。その指の感触に、俺の躯は強張る。

 今、そこは。

「あれ? 先生、もう濡れてるじゃないですか」
「ち、ちがっ…」

 体温で蕩け溢れ出したジェルが、岡部の指に掻き回されてチュクチュク音を立てる。

「あぁ、もしかして、後藤のアレですか?」

 くすくす。岡部が笑う。

 嫌だ。
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

 こんな、鼠講のように行為の相手が増えるのは嫌だ。
 弱味を盾に脅され続けるなんて嫌だ。

「いっや、だ…ッ!」

 無我夢中で俺は岡部を突き飛ばし、逃げた。

 外開き式のドアには鍵がかかっておらず、体当たりで簡単に開いた。脱がされていなかったのも幸いした。

 とにかく逃げた。

 岡部が追ってくる様子はなかった。




 夜にはいつも通り、俺の痴態画像が添付された後藤からのメールが届いた。誰も居ない早朝の教室での行為が、後藤は特に気に入りのようだった。

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