イケナイコト

04


 一歩近付くと、がたんと誠がドアにぶつかった。だがそれは内開きだし鍵も掛かっている。逃げられるわけがない。

 する、と哲太は誠の肩に手を回し、逆の手で邪魔な眼鏡を外した。

「へぇ。なかなか可愛い顔してんじゃん。今までマトモに見たことなかったけど」
「ぁ、ひ、日高くん、か、返して…っ」
「色々よく見えない方が、お前のためかもしんねーぞ?」
「どういうっ…」

 言い募ろうとする口を、また唇で塞ぐ。哲太は手にしていた眼鏡も無情に床に落とした。かしゃん、と嫌に軽い音。

 ちゅ…ちゅうッ…くちゅ、くちゅっ…
「ン…は、んんぅ…っ」

 今度は舌を吸い出して、舐めたり噛んだりする。

 きつく閉じられた誠の目尻に、涙が滲んだ。震える手が、力なく哲太の肩を押す。

「ハ…ぁんっ…む、ンぅ…っ」

 だが。
 哲太は唇を離して、腿で誠の股間を擦り上げた。

「ッあぁっ!」
「なに硬くしてんだよ、キスだけで」

 誠の股間は、しっかりと硬さを持った膨らみが出来ていた。腿で擦ってやるたびに、びくん、びくんと全身で反応する。

 肩を押していた手は、弱々しくも哲太の服を握り、縋るような格好だ。

「お前、童貞?」
「ッぁ、あぅ…ッ」
「オナニーは? 結構スんの?」
「んんッ…!」

 股間をいたぶりながら質問を重ねるが、誠は顔を真っ赤にするだけで、明確な返事はしなかった。

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