イラスト

オマケSS


 

***
 愛らしい顔はしているのだ、望も。

「? 上総先輩、どうしたんですか…?」

 じっと見つめる視線に気付いたのだろう、ふと視線を返して、望が問う。
 黒い髪は陽に当たると程よく透けて茶色がかるし、大きな瞳も綺麗な色になる。
 まあ、上総のような『美形』ではなくとも、中の上くらいの顔つきではあるだろう。

「せ、先輩?」

 もちろん、上総も最初は顔で選んだわけであるし、それは認める。Mr.パーフェクトが、あまりに相応しくない相手を連れるわけにもいかない。
 今では苛め甲斐のある望の性格、いや、望そのものを愛しているが。

「…」
「ぼ、僕の顔、なにかついてますか…?」

 慌ててわたわた触れる望を、眺め続ける。
 廊下の端で、数少ない女子が、望の話をしているのを聞いてしまったのだ。かわいい、今度話しかけてみようか、なんて。

 困ったような顔をしている望をいきなり抱き寄せて、上総はその柔らかな唇を奪った。
 舌を挿し込み、掻き回す。
 驚いて見開いた瞳が、すぐにとろんと蕩けて上総だけを映す。

「…そう。僕だけ見てればいいんだ」
「は、ふ…? は、はい、せんぱい…」

 こっくり肯く望に、上総は満足げに笑って見せた。

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